「板 公」
今日の体育は地球組のみんなで騎馬戦です。
組分けは、いつも通りにエリザベスちゃん、アメリーくん、チューゴ君、ロシアノビッチ君など連合チーム。ニホンちゃん、アーリアちゃん、マカローニ君他の枢軸チーム。そしてカンコ君とキッチョム君、タイワンちゃん、フランソワちゃん、それにデンマー君やオランちゃんの……そうです、パルチザンチームです。
しかし、この手の、地球組で何組かに分けて行うゲームで、いつも枢軸チームは負けてばかりでした。
今回の騎馬戦も、
「オー、グラッチェ、レッディーたち、僕がいれば枢軸チームはバッチリさ!」
と、豪語したマカローニ君が、いざ戦いが始まるとあっちへフラフラ、こっちへフラフラ、
「ヘイ、アーリア、ちょっとこっち手伝ってYO!」
「この、余計な事を……!!」
アーリアちゃんはそう言いつつも懸命にマカローニ君をフォローします。敵は主にエリザベスちゃん、アメリー君、ロシアノビッチ君です。フランソワちゃんも普段の優雅さをかなぐり捨ててアーリアちゃんにかかってきます。
結局マカローニ君はアーリアちゃんの足をひっぱるだけひっぱって、早々にハチマキをとられてしましました。残ったアーリアちゃんはみんなにぽこぽこにされて、珍しく酒臭くないロシアノビッチ君に負けました。
一方我らがニホンちゃん。初めチューゴ君と賢明に戦いましたが、やがてアメリー君が参戦し、カンコ君とキッチョム君の、
「ウリニャラ(以下略)……!!」
攻撃にもあい、ついに負けてしまいました。
体育の時間が終わって、シャワールーム。
楽しそうなエリザベスちゃん。フランソワちゃんはエリザベスちゃんに借りを作ったので少し御不満。
そして疲れ果ててぐったりとシャワーを浴びているニホンちゃんに、
「おい、ニホン」
「うひゃああッ!」
シャワーの中、後ろから、いきなりアーリアちゃんが、ニホンちゃんの細い背中へ、歳のわりに大きな胸をおしつけたではありませんか。
ニホンちゃんはびっくりして、
「な、な、な、な、なに、なに、アーリアちゃん……」
アーリアちゃんは蒼い目を細めて、ニホンちゃんの耳元でそっと、
「……こんどはイタ公ぬきでやろうぜ……!!」
解説
「こんどはイタ公ぬきでやろうぜ……」 ドイツのパブで現地人と呑んで、いいかげん酔っぱらうとこう言われるという伝説があるのだが、真実は知らない。
ナチスが負けた最大の原因はヒトラーが東西両方に前線を引いて、東で負けて西でも負けて、結果として文字通り東西両方からドイツが挾撃される形になったためだが、地味に、南でも、イタリアが調子こいて(誰も広げろなんて言ってないのに。)前線を広げ、広げたはいいが負けまくり、ドイツに援軍を求めたため、ドイツは仕方がなく北アフリカにも軍を送るはめになった。
そもそもドナウ川を南下し、ユーゴあたりでドイツの占領はストップするのが本当で、その予定だったはずなのだが、そこからさらに軍は南下して、前線は広がり、補給はのび、負けてしまった。
それをイタリアのせいにするのは短絡的だが、そう思ってるドイツ人もいるようだ。
もっとも、大部分の若いのはそんなの気にもしてないだろうが、我々のような戦史好きは少なくとも、かなり憤慨していると思われる。
また絵師さんたちにはこのシーンの素敵なイラストを何枚か描いていただいて、本当に感謝しております。
こんなの。
もえー。
ニホンちゃん
後の祭