「たましい」
アーリアちゃんのナッチ祖父は、かつてEU町を恐怖と混乱の渦にまきこみました。その後、周りの家とは対話を繰り返し、見解の相違があっても努力と忍耐と理解をもって、共通の記録本を作ったのです。
教室では、ニホンちゃんがタイワンちゃんと楽しそうにおしゃべりをしていましたが、カンコ君がニホンパパの作った記録本にどうでもいいようなイチャモンをつけ、
「謝罪しる謝罪しる謝罪汁ゥ!!」
と、わめきだしました。困り果てるニホンちゃんを、カンコ君と同じく、昔、家がニッテイ祖父に使われた事があるタイワンちゃんは、あまり強く抗議できません。
アーリアちゃんは静かに歩きだし、
「おい」
「ニダッ」
「お前、少しはちがう事がいえないのか」
「ニ……」
その冷たい迫力に、カンコ君はタジタジと下がり、チューゴ君を求めて行ってしまいました。
「あ、アーリアちゃん、ありが……」
「おい、ニホン」
「え?」
「立場や考え方はちがえども、私たちには共通の魂がある。プロイセン魂とヤマト魂だ。……わたしはお前の味方だぞ」
「…………」
ニホンちゃんはアーリアちゃんのあまりに深く蒼い瞳に、すいこまれそうです。
と、アーリアちゃん、ニホンちゃんのほっぺたにキスをして、悠然と去ってゆきました。
その後ろ姿をみつめ続けるニホンちゃん。
タイワンちゃんは、そんな二人を、奥歯をかんで交互に見ていました。
解説
教科書問題を風刺したつもり。
というよりこれで重要なのは、このハナシ以降、3人の奇妙な冒険……じゃなかった3角関係ができてしまったことだろう。
本当に他意はないんです。創作としての、脳内の勝手な出来事です。
女の子同士の甘酸っぱい夕日色の思い出……。
そんなつもりだったのだが。
ニホンちゃん
後の祭