キム・ワンソプ著/親日派のための弁明 草思社
 
 キム ワンソプ マンセー!!!

 

 これは衝撃的……いや革命的な書物だ。こんな内容の書籍を韓国の人が書いたなどとはにわかには信じられぬ。

 「新しい教科書」なぞ物の数ではない。

 原著(韓国語版)を執筆中から既にさまざまな圧力があり、出版されるやたちまち実質上の発禁処分を受け、日本でいう「ビニ本」になってしまった。健全な青少年に悪影響を与えるというのだ。それはそれほど韓国政府にとって都合の悪い内容であったからに他ならない。つまり、韓国政府がひた隠しに隠している真実を暴露したためである。この書籍が荒唐無稽な作り話であるならば、鼻で笑って無視すれば良いだけだ。躍起になって否定するということは、逆説的にはつまり、ほんとうの話なのである。よけい信憑性が高い。
 
 本書は3つの章に別れている。順に説明する。
 

 第1章は「夜明けのアジア」と題され、いきなり核心に触れる。
 
 近代における日本の侵略戦争は、ナチスの人種差別主義による民族浄化戦争とは根本から異なり、ナポレオンやチンギス・ハーンの侵略戦争と同じような側面をもち、軍国主義による人権の蹂躙行為は批判されてしかるべきだが、もう一方の側面、独立国が日本とタイしかなく、欧米人によって人間以下の扱いを受けていた東アジアの地域を日本が軍事力で開放し、近代的なブルジョア革命を伝播しようとしたと評価。とくに韓国と台湾においては、日本帝国の直轄領土であったため、その統治を受け、アジアでは日本に次ぎ近代革命に成功し、現在の発展の基礎となった。韓国と台湾以外、どこに先進工業国が東アジアにあるというのか。(シンガポールは都市貿易国家であり、比較の対象にはならない。)みな前時代的な農業国のままで、貧乏国に甘んじている。これは誰のおかげなのか。日本の統治を感謝し、誇るべきであり、台湾は相対的に日本を評価し、友好的な態度をとっているのに韓国は愚かで稚拙な反日感情を捨てないのは残念なことだ、というもの。

 これだけでもドびっくりではないか。

 これは戦争や日韓併合の「賛美」ではなく純粋で客観的な「評価」だ。著者は特別な日本びいきでもなく、日本語も話せないうえに(なんと。)元左翼。子どものころは徹底的な半日教育で、むしろ日本は大嫌いだった。1995年ころがそのピークだったという。

 しかし著書が当たり、海外旅行などもできて、オーストラリアには2年も滞在すると、外から韓国を見ることができた。海外で会った日本人はみな親切でイメージと異なり、韓国がいかに国際社会で孤立しているかを外から見た。

 すると、冷静になって日韓史をとらえることができるようなった。マルクス主義における経済学的見地からみれば、日本の韓国併合とその統治(経営)がいかに経済的で成果が大きく、現在の韓国のためになったか、如実にわかるようになった。
 
 伊藤博文は金のかかる韓国併合はむしろ消極的で、併合は反対だった。韓国の知的革命家たちはむしろ併合を望んだ。それは、李王朝のダメさ加減にほとほと愛想がつき(30年間も弾圧されて市民革命を果たせないでいた。)こうなったら日本と手をむすぶしか大韓の発展と未来はない、という悲壮的なまでの覚悟と判断によるものだ。(かれらは現在、韓国で売国奴とされている。)
 
 しかし伊藤は儒教原理主義者のテロにより暗殺されてしまった。日本でいうところのマッカーサーが暗殺されたようなもので、大事件。日本の世論がまず韓国併合を唱え、政府はそれに従った。
 韓国では日本の統治と資金を得て、ようやく市民革命に着手できた。
 
 市民革命ができるということは法が敷かれ人権が護られるということを意味する。教育をうけ、経済が発展し、生活が豊かになることをいう。半島の人口は激増し(数十年で倍になっている。)、それまでの朝鮮は人権など一切なかったわけで、日本に感謝こそすれ、謝罪しろとは理解できない、というのだ。 
 

 私は眼からウロコが5万枚は落ちた。

 
 著者はさすが元左翼で人権運動家。ただの文化人ではなく光州事件では体制と闘ったひとだけに、肝がすわっているうえに感情に左右されぬ冷徹なまでの価値観をもっている。どんなに当時の資料をひっくりかえしても、朝鮮支配で日本が韓国人を奴隷として扱い、搾取し続けたなどという統計は出てこないというのだから、現在の韓国で流布しているそれらの統計はすべて捏造であり、しかも「ちゃんちゃらおかしい」らしい。例をいえば、総督府は韓国の人民から富を80%搾取したとされているが、マルクスの論によっても、支配層が労働者から搾取する富は50%であり、80もとられたらいまごろ朝鮮民族はとっくに飢えて死に絶えてるというのだ。
 
 また著者は日本人に同情する。アメリカとの戦争に負けたおかげで、日本人は自分たちがしたことを「悪いこと」だと信じている。戦争に良いも悪いもなく、稚拙で未成熟な軍国主義による人権の蹂躙行為は確かに行われたが、敗戦後は憲法を変え、人権の保障された文明国となった。日本が戦争に負けたので「日本帝国」は解体され、韓国と台湾は分割された。もしいま韓国と台湾がまだ「日本帝国」の一部であったなら、モンゴルや満州あたりも加え、いまのアメリカのような「連邦制」と同じような構造をとり、大東亜連邦としてアメリカに比する大国となっていたにちがいない、もったいない、という。

 さらに明治維新は世界史の中で燦然と輝く「奇跡」であるのに、日本人は過小評価している。日本人は韓国併合において、よいこと「も」した、などと、悪いことをしたというのを前提に考えている。韓国併合はむしろ韓国の主流派(現在でいう親日派。)が望んでいた。国際法上にも適しており、アメリカ、イギリス、みな歓迎した。それほど当時の朝鮮は圧政が敷かれ、野蛮で遅れていて、救いようがなかった。文明国日本の一部と化したことで、韓国人にもようやく文明の恩恵が与えられると解釈したのだ。そして、それは事実、その通りとなった。
 
 日本は韓国が犬も笑う難癖をつけてもじっと耐え、日本の若者は韓国に来て、韓国人に殴られても仕方がないと思っている。(そういう人も中にはいるだろう。) 

 かつて日本の土地だった場所でなんで韓国に近代化を与えた日本人がそんなみじめな思いをしなくてはならないのか。(これを読んで私は涙が出る思いだった。)
 

 また韓国・中国に日本を非難する資格はない、などというのは、日本人が言ってもそれはあたりまえの話なのでいまさら新鮮味はないが、韓国の知識人がいうのだから、ショッキングだ。

 ご存じない方もいると思われるので説明するが、韓国軍はアメリカに些細な金を渡されてベトナム戦争に参加し、ベトナムの非戦闘員を虐殺している。それは言語を絶する凄まじさで、殺人強姦あたりまえ、子どもから老人から妊婦から修道女まで面白半分に殺しまくった。お菓子を与えて子どもらを集め、殺したというのだから恐れ入る。日本軍も真っ青である。

 それでなくとも朝鮮戦争期には韓国軍は共産主義だということで無辜な同胞の民を何万人も虐殺している。それは北朝鮮の兵士も同じこと。そんな野蛮な犯罪行為が隠匿され、日本の何を非難しているのか理解不能。

 中国に関してはさらに理解不能度は高まり、チベットを侵略しておいて日本の侵略を非難。内戦や文革で5000万(!)は自国民を殺しておいて、日本の戦争行為を非難。日本による中国人の被害者は正確な資料もないのに年々増加。
 著者はいう。
 中国は外国のことだし韓国よりずっと遅れた国だからしょうがないかもしれないが、せめて韓国だけはそんな恥さらしなことはやめてくれ、と。

 私は著者に同情した。
 
 まだまだある(いまこそかつての大東亜共栄圏に匹敵する東アジア経済ブロックを早急に確立しなければ、東アジアは21世紀を生き抜けない、とか。)が、長いのでそろそろしめる。この第1章だけでも、読む価値は充分すぎるほどだ


 第2章は「相生の歴史」と題され、日韓の近代史を韓国側から詳細に解く。これほどまでの韓国史は、わたしは初めて勉強した。

 ここは歴史の専門書に匹敵し、思想的なことはとくに出てこないので、省略する。

 少なくともいえることは、いま韓国で「売国奴」とされている人々が、いかに自国の未来を憂い、近代化を押し進めるべく命をかけ、旧体制の維持を画策する抵抗成力と戦い、もはやことここに到っては日本と手を結ぶしかない、と苦渋の選択をし、それでも自らの民族性を保ち、血と汗を流し続けて努力したか、評価しなくてはならないということだ。

 もちろん、日本の統治に命懸けで抵抗した人も、それはそれで、信念に基づいているのだから、韓国としては両方評価すべきなのだ。それはつまり、日本でいう、薩長維新派と旧幕府のようなもので、西郷隆盛、大久保利通、伊藤博文、みな明治の偉人として多大なる評価を与えている。佐幕派と呼ばれる人々も、日本は新撰組を筆頭に特に評価しているし、その人気は衰えることを知らない。徳川慶喜の英断もすばらしい。折衷的な立場にいた坂本龍馬にいたっては、神のごとく幕末ファンから崇められている。西郷が好きとか、新撰組は嫌いとか、単純な好き嫌いはあっても、まさかアメリカに開国した井伊直弼を「売国奴」などと学校の授業で教えようか。


 第3章は「カミカゼの後裔」と題される日本研究であり、これを日本人が読むとき、客観的な視点より書かれた日本評価を勉強するという意味を持つ。

 著者は日本的精神の現れとして神道をひきあいにだしているが、確かに仏教より神道の方が日本的だろう。仏教は他の国にもあるが、神道は日本独自のものだ。明治政府が神道を国教としたのも関係するかもしれない。

 竹島問題なども日本人はあまり興味がないかもしれないが、韓国人にとっては自らのプライドをかけた重大事だ。なにせ日本からはじめて領土を奪ったのだから。返すなどとはとんでもないことなのだ。

 著書は「みっともないから早く返せ」という。

 また日本の政治家がこれまで吐き続けてきた「妄言集」もおもしろい。

 私たちは日本の政治家が何か歴史認識に関していうたびに韓国・中国の猛反発をうけ、しぶしぶ辞任したり遺憾に思ったりしているのをみてきているので、韓国・中国に申し訳なく思っている。ああ、また日本の政治家が失礼なことを言って相手を怒らせた、と。

 しかし著者からみれば、かれらの発言は日本としての当然な発言であり、謝罪するのは理解できない。日本文化は正面からの衝突を嫌い、相手が不快に思ったり怒ったりするとまず自分の主張をひっこめるので、それの現れなだけであって、韓国人が日本の政治家をみて自分たちが正しいなどと思うことは、とんでもないことだという。
 
 そうだったのか!!(?)
  
 さらに注目すべきは「靖国神社」問題だろう。
 
 神道のこととからめ、著者は靖国神社を国立墓地だと思っている。私はそうは思わないが、外国人である著者はそう思っているのだ。外から見たら、たしかにそうかもしれない。

 その国立墓地に匹敵する場所を日本の総理大臣が訪れるのは当然であり、日本人が良いとか悪いとか言うのならまだしも、韓国や中国が轟々と批判をするのは理解できない。

 それはつまり、韓国の国立墓地にはベトナム戦争の戦犯も奉られているが、大統領がそこを訪れるのにベトナムが轟々と批判するのと同じだ。ベトナムはそんなことはしない。韓国の問題だからだ。韓国や中国の批判がいかに的外れで、非論理的でバカバカしいか、気づいていないのは韓国と中国だけなのだ。(私が思うに外交大国・中国は、少なくとも政府レベルでは意識してやっているが、韓国は無知蒙昧的に本気で怒っている。民度の低い:笑 中国人民は、さいきんはどうも阿Qの群と化している。)
 
 日本の明治維新による近代化の速度、その後の発展、日本帝国による欧米植民地主義の打破、敗戦後の驚異的経済成長、現在における先進国としての日本のおける役割と地位、それらはみな奇跡的な業績であり、世界のどこでも日本人はそれなりの敬意を払われている。韓国や中国人を無視する人はいても、日本人を無視する人はいない。(かつて日本がまだ奇跡の過程にあったころ、欧米人の差別にさらされても。)文化を紹介し、裕福で礼儀的というイメージを与えたおかげで、日本人・韓国人・中国人を外見で区別できないかれらは、後からやってきた韓国人や中国人を同じように見た。後者は日本の恩恵をどれだけうけたかしらない。
 
 欧米人にとって日本の奇跡はチンギス・ハーンのヨーロッパ侵略に匹敵する出来事であり、白人優等主義を根本から覆す重大事件だった。欧米先進国が東アジアでまともに相手をするのは日本だけであり(さいきんは中国が「脅威の対象」として台頭してきたが。)東アジアは日本を中心にひち早くまとまらなくてはならない。日本・オーストラリア・ニュージーランド・台湾そして韓国がまず音頭をとって経済ブロック圏を創設し、東アジアの発展をめざさなくてはならない。それには先進国と発展国の中間にいる韓国こそ先頭に立たなくてはならないのに、いつまでも日本に無礼でくだらないケンカをふっかけて世界中の笑い物になっている。東アジアが一つにまとまるのを嫌っているアメリカの妨害をはねのけて、手を携えて協力しあわなくてはならないのに、韓国はぜんぜん気づいていない。
 
 日本の小泉首相がシンガポールと自由貿易協定をむすび、東アジア共栄圏の設立を目指しているのに、韓国では閔妃のミュージカルビデオがとぶように売れ、相変わらずの狂信的な民族主義(ショービニズム)がはびこっている。
 
 韓国政府の意図的な歴史の歪曲にさらされた韓国の若者は、外国(アメリカ)へ行ってはじめてその実体を知り、憤慨している。かわいそうな彼等に罪はない。が、それでも自国の誤った歴史に執着し、事態を悪化させるのはやめてほしい。
 
 全体的にこんな調子。
 

 ブラボーというほかはない。
 

 
 おもしろサイト

 日韓併合前後 朝鮮半島写真館

 判断は各自おまかせします。



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