打楽器協奏曲に関するメモ


 我輩はアマの打楽器奏者であり、打楽器に関してはソロやアンサンブル等、人よりはたくさん聴いているのだが、それでもあんまりアンサンブルやコンチェルトは聴かない。オーケストラの中で普通に活躍する打楽器のほうが好きである。

 とはいえ、打楽器アンサンブルや協奏曲を聴く事に何の抵抗も無く、率先して集めるでも無いが買うにも抵抗が無いため、ピアノやヴァイオリン、チェロ協奏曲を買うと同次元で打楽器協奏曲を買っている。

 したがって、それなりに集まっていた。

 自分での把握のためもあるので、ここに整理して保存しておく。メモなので小文です。

 ここでの定義は、

 1.オーケストラや吹奏楽の伴奏による打楽器協奏曲(それのピアノ伴奏含む)
 2.協奏曲ではないがソリストがついて実質協奏曲のもの
 3.室内楽であってもタイトルが「協奏曲」のもの

 順不同

打楽器協奏曲


〇武満徹:カシオペア 〜独奏打楽器とオーケストラの為の〜

 小澤征爾/日本フィルハーモニー交響楽団/山下(打楽器) EMI TOCE-7213
 若杉弘/東京フィルハーモニー交響楽団/加藤訓子(打楽器) TOKYO OPERA CITY TOCCF-10

 コンチェルトというより、ただでさえ打楽器の多い武満のオーケストラ曲に超絶技巧打楽器が倍率ドンさらに倍!! 視覚効果も考慮されておりCDでは鑑賞に限界があるが、その独特のまさに「宇宙」を聴く事ができるだろう。武満の曲はどれもそうだが、一種の音楽を超えた音楽である。


〇武満徹:From me flows what you call Time

 セントクレア/パシフィック交響楽団/ネクサス(打楽器ソリ) ソニークラシカル SRCR2156

 協奏ではあるが伴奏に対する対立的協奏ではなく、それは独立して運動し存在する打楽器とオーケストラの溶け合う寂々たる緊張と精神の弛緩。天空の色彩。静寂の打楽器協奏曲という極めて特異な位置にある。20分を超え、ちょっと長い。


〇黛敏郎:打楽器とウィンドオーケストラの為の協奏曲

 岩城宏之/東京佼成ウィンドオーケストラ/打楽器パートソリ 佼成出版社 KOCD-2907

 約8分ほどの、短い曲だがダイナミックに富み、いかにも打楽器が叩いてます! という素晴らしい活き活きとした音楽。吹奏楽というより管楽合奏ととらえられた伴奏もたいへんモダンであって、同質の音調を消しあっていない。


○福士則夫:CHROMOSPHERE 〜打楽器とオーケストラのための

 尾高忠明/東京フィルハーモニー交響楽団/吉原すみれ(打楽器ソロ) 打楽器パートソリ カメラータトウキョウ 32CM-293

 膜物打楽器ソロと5人の打楽器群の音響がオーケストラと重なり合う無調音楽で、緊張感の中に土俗的な太鼓の響きが面白い対比を生み出している。モダンの中の土俗のトルソーを探し出す試みである。


○細川俊夫:打楽器協奏曲「旅人」

 高関健/西ドイツ放送交響楽団/中村功(打楽器) Stradivarius STR 33818

 細川は正直苦手な作曲家だが、この曲も細川らしいスカした感じ。構成的にあまりに武満の臭いが強すぎるが、まったく同じというわけではなく、もっと事象の遠くにいる。細川に比べると、武満はずっとずっと西洋音楽に近い。様々な種類の打楽器が一定の間隔を持ってずっと鳴り続ける中に、オーケストラがつかず離れず、観念めいてつき従う。1楽章制で30分とかなり長いが、響きとしては心地よく、まるでヒーリング音楽。


〇ミヨー:打楽器と小オーケストラの為の協奏曲

 フォレスティエ/オーケストラアンサンブル金沢/オケーリー(打楽器) ワーナー WPCS-11862
 メイエ/リエージュ国立フィルハーモニー管弦楽団/ヴェルシュレーゲン(打楽器) RCA 88697 178602
 ミヨー/ルクセンブルク放送交響楽団/ダニエル(打楽器) VoxBox CDX 5109

 こちらも短い音楽だが、ちゃんと2楽章制でミヨーらしい洒落た内容。満遍なく打楽器がソロで扱われる。現代曲にありがちな、打楽器が無拍でひたすらドカドカするようなはしたないマネはしない。鍵盤楽器ではなくとも、打楽器がちゃんと音楽をしている模範的な曲。1930年の作で、知る限り世界で最初の打楽器のための協奏曲。


〇ジョリヴェ:打楽器とオーケストラの為の協奏曲

 フォレスティエ/オーケストラアンサンブル金沢/オケーリー(打楽器) ワーナー WPCS-11862
 山本晶子(打楽器)/森浩司(ピアノ) NAR NARC-2030

 パリ音楽院打楽器科の試験曲として書かれた、膜物、鍵盤、ドラムスに到るまで次から次へと異なる打楽器を扱わなくてはならない難曲。ただ叩くのではなくそれぞれの楽器特性を活かし、ちゃんと音楽として仕上げなくてはならない。1958年の作であり、ミヨーの打楽器協奏曲と共に古典。


〇シュワントナー:打楽器協奏曲

 スラットキン/ナショナルシンフォニーオーケストラ/グレニー(打楽器) BMG 09026-68692-2
 コーポロン/ノーステキサスウィンドシンフォニー/ディーン(打楽器) KLAVIER K 11153
 プライス/カルガリー大学ウィンドアンサンブル/ブリット(打楽器) Albany TROY999

 シュワントナーは元々打楽器を偏愛しているが、ここではその打楽器の膜物、金属、木質と色彩感に富むソロがたっぷりと聴ける。ボコボコ、キラキラ、カタカタ、ドガシャーン! である。ただし吹奏楽版は流石にややその色彩感に欠ける。


〇サッリネン:交響曲第2番「交響的対話」 〜独奏打楽器とオーケストラの為の〜 

 テンシュテット/フィンランド放送交響楽団/謎の人(打楽器) FKM FKM-CDR-9

 CD-R盤でソリストが不明なのだが、実質打楽器協奏曲。この人の曲はこれしか聴いた事が無いが、全体に打楽器がおいしいらしい。ちょっと展開が散漫な印象。 


〇オルティス:打楽器協奏曲「蝋燭(カンデラ)」

 ソルマン/メキシコ国立大学オーケストラ/ガラルド(打楽器) URTEXT JBCD003

 メキシコの作曲家ガブリエラ・オルティスの打楽器協奏曲。こんなCDいつ買ったんだ(^^; カンデラとはキャンドルのこと。1楽章マリンバ・カンデラはマリンバソロの瞑想的な音楽から無調的なアレグロ。しかし後半はいきなり民族的な雰囲気となる。2楽章カンデラ・ノクチュルナは緩徐楽章ながらモロにジャングルくろべ……もとい原始トランス音楽。3楽章トッカータ・カンデラはアレグロ楽章で打楽器はやはり原始主義。蝋燭といっても、古代マヤの宗教儀式を思わせる。


〇スタッキー:スピリット・ヴォイセス 〜パーカッショニストとオーケストラのための〜

 シュイ/シンガポール交響楽団/グレニー(打楽器) BIS BIS-CD-1622

 シンガポール、イギリス、アメリカ、日本などの精霊(妖精、妖怪)を題材にした7つの楽章による。スコットランドの妖精ベン・ニーァ、ウェールズのエサソン、アメリカ先住民のコヨーテ、そして日本の天狗、それ以外は意味不明。作風としては純粋な民族的ではなく、印象音楽に近い。小洒落た雰囲気だが、中途半端に現代的な部分もあって馴染みにくい。


〇フサ:打楽器とウィンドアンサンブルの為の協奏曲

 ウィンザー/イサカ大学ウィンドアンサンブル/打楽器パートソリ Mark Custom 3170-MCD

 フサは普段より辛辣な打楽器をこよなく愛する作曲家だが、アメリカの打楽器メーカー・ラディックの委嘱による今作はチューブラベルのソロから始まり、第1楽章は金属打楽器が主役。なんとも不思議空間。2楽章は一転して木質が支配する東洋的な瞑想の空間。フルートがイカス。3楽章は「プラハ」っぽい渇ききった激しいアレグロ。タムタムがドカドカ鳴り、木琴がガイコツ踊り。緊張感たっぷり。フサ最高。


マリンバ(シロフォン)協奏曲


〇伊福部昭:オーケストラとマリムバの為のラウダ・コンチェルタータ

 山田一雄/新星日本交響楽団/安倍圭子(マリンバ) フォンテック FOCD2512
 山田一雄/新星日本交響楽団/安倍圭子(マリンバ) JOD JOD-119-7
 石井真木/新交響楽団/安倍圭子(マリンバ) ユーメックス TYCY-5424・25
 岩城宏之/東京都交響楽団/安倍圭子(マリンバ) フォンテック FOCD9638/9
 金洪才/東京佼成ウィンドオーケストラ/山口多嘉子(マリンバ) 佼成出版社 KOCD-2906
 福田滋/伊福部昭記念ウィンドオーケストラ/篠田浩美(マリンバ) THREE SHELLS 3SCD-0015
 川上敦子(ピアノ)/高田みどり(マリンバ) ゼール音楽事務所 ZMM1209

 書法は簡潔だが重厚な響きが出ている。日本のみならず、世界でもトップクラスのマリンバ協奏曲。安倍が気合を入れすぎて超演奏を繰り返し、後輩が続いて来ないのが珠に瑕(笑) 安倍の演奏は常に4本マレットなのでそういう曲かと思いきや、構想段階ではシロフォン協奏曲だったという事であり、譜面は2本で書かれていてオプションで和音を加えても良いという指定。吹奏楽版の山口の演奏が2本とのことで、少し印象が違う。

 ちなみに吹奏楽版の編曲は和田薫。ラストのほうに(ソリストの依頼で、とのこと)シンバルとドラが加わっているが、シンバル嫌いの伊福部はちょっとイヤだったという。これは、後に改訂して原曲とおりにされている。 

 1楽章制の割にかなり長く、30分を数える大協奏曲だが、この曲に関しては長いのがミソ。執拗なオスティナートに感覚がしびれてくる。


〇黛敏郎:木琴小交響曲

 スネル/ファウンデーションフィルハーモニックオーケストラ/メイ(シロフォン) ASV CD DCA 1126
 福田滋/リベラウィンドシンフォニー/片岡寛晶(マリンバ) スリーシェルズ 3SCD-0008
 種谷睦子(マリンバ)/阪本朋子(ピアノ) フォンテック FOCD3257

 規模・質共に文字通りコンチェルティーノであり、ピアノ版もあり演奏はし易いだろう。おそらく最も良く演奏される日本のシロフォン(マリンバ)協奏曲ではないだろうか。小さい3楽章制10分ほどで、それぞれ面白く特徴がありよくできている佳品。日本的な音形もあって面白い。


〇今井重幸:マリンバと打楽器とオーケストラの為の協奏的変容「沖縄」

 今井重幸/オーケストラニッポニカ/吉原すみれ(マリンバ)/山口恭範(打楽器) キングインターナショナル ALQ-0010

 初演に作曲が間に合わなかったようで、CDでは「3楽章のみ」となっているがその後けっきょく3楽章だけで完結した……らしい。マリンバソロを打楽器ソロが補佐する二重協奏曲でもあるが、マリンバがメイン。かなり濃いい、民族的楽想の大爆発する強烈な音楽。


〇三木稔:マリンバとオーケストラの為の協奏曲

 若杉弘/日本フィルハーモニー交響楽団/安倍圭子(マリンバ) DENON 30CO-1729

 常にマリンバがオケと「同列に」鳴っており、コンチェルトというよりマリンバ独奏付のオーケストラ曲みたい。かのマリンバスピリチュアルと同じ作者だが発想が根本から異なりまるで別人の曲である。


〇武満徹:ジティマルヤ

 岩城宏之/東京都交響楽団/高橋美智子(マリンバ) ビクター VICC-23013
 岩城宏之/東京交響楽団/高橋美智子(マリンバ) ソニークラシカル SRCR 2409

 7分ほどの音楽でコンチェルティーノという印象。終始アンダンテくらいでマリンバが木霊のようにコロコロカタカタ鳴っている。精霊チックな不思議な空間。打楽器のコンチェルトでアレグロが無いというのはむしろ凄い。


〇三善晃:マリンバと絃楽合奏の為の協奏曲

 若杉弘/ニューミュージックオーケストラ/安倍圭子(マリンバ) DENON 30CO-1728

 迫力と緊張感にあふれており、非常にシリアスな空間を構築するが、編成上、色彩感に欠ける。それでも絃楽のギシギシした表現と鋭く叩き込まれるマリンバとの対比は見事。


○吉岡孝悦:マリンバ協奏曲第1番

 吉岡孝悦(マリンバ)/中川俊郎(ピアノ) ALM RECORDS ALCD-7147

 初演はオーケストラ伴奏であったが、その後、再演の機会を鑑み作者自らピアノリダクションした。3楽章制で20分の本格的な協奏曲。旋律重視の吉岡にしては現代調な部分も。構成的に悪いというではないが、楽想のわりにスケールが小さく長い。


〇吉松隆:マリンバ協奏曲「バードリズミクス」

 藤岡幸夫/東京フィルハーモニー交響曲/三村奈々恵(マリンバ) 放送音源 YouTube

 FM放送のエアチェック録音で恐縮だが参考までに。3楽章制26分という、このジャンルの現代コンチェルトとしては異例の長さ。吉松は、交響曲や協奏曲を長く書く癖があるが、ここでも。昔のロマン派の曲のような、ソナタ形式やロンド形式などの構成力ではなく、響きや旋律や勢いで聴かせるので、やはり長い嫌いはあるが(笑) 音楽は面白い。熱帯の雰囲気にあふれた良品。マリンバが常に超絶技巧で叩きまくり、他の打楽器も大活躍。特に3楽章アフリカンビートの執拗なオスティナートは祖師・伊福部のラウダに通じる精神がある。


○松平頼暁:マリンバとオーケストラのためのオシレーション

 黒岩英臣/東京都交響楽団/高橋美智子(マリンバ) ナクソス NYNG-009(NHK「現代の音楽」アーカイヴシリーズ)

 1楽章制、14分ほどのゲンダイオンガクであるが、独特のリズム理論とセリー主義に基づくマリンバは意外に旋律的。オシレーションとは振動という意のようで、オケを3群にわけ、微分音の音程ゆらぎや、リズムのズレがガムランのように響いてくるのがかなり面白い。ただし、プロの奏者からするとそれはかなり「気持ち悪い」ようで、都響での初演で尾高賞をとったのち、N響での再演で団員が演奏を嫌がったという逸話をもつ。曰く「こんな曲やってられるか」


○渡辺浦人:「大和の幻想」〜木琴と管絃楽の為の協奏曲

 渡辺浦人/東京交響楽団/卜部茂子(木琴) YouTube

 むかし、LPで出ていたものがYouTubeu にて聴ける。題名から戦前の曲のような印象だが、1970年の、大和路の印象を元にした曲。1楽章「山の辺の道」2楽章「万葉のふるさとあすか」3楽章「いたぶきの宮跡にたちて」から成る。民族的かつ新古典的な音楽。年代的に流行っていた現代的技法は使われていないが、しっかりした構成と旋律が楽しめる。


○水野修孝:マリンバ協奏曲

 小松一彦/日本フィルハーモニー交響楽団/高橋美智子(マリンバ) フォンテック FOCD2572

 13分ほどの、単一楽章制の協奏曲だが、内容はたまらなく濃い。風鈴やギロの音から始まる序奏と、主にオーケストラの緩徐部で半分、残り半分はビートリズムの変容の短縮版で、打楽器とオーケストラとマリンバがビートを叩きまくる。コーダで一瞬、冒頭が再現される。


○ 一柳慧:マリンバ協奏曲

 藤岡幸夫/関西フィルハーモニー管弦楽団/種谷睦子(マリンバ) カメラータ CMCD-28285

 2楽章制で17分ほど。1楽章が4分ほどで序奏の役割をし、メインは10分以上も続くアレグロの第2楽章。アンダンテで日本の拍子木と同じリズム(序破急)を使う第1楽章。同じ音が同じリズムで徹底的に繰り返されるアレグロの呪術的な第2楽章となっている。


〇クレストン:マリンバ小協奏曲

 種谷睦子(マリンバ)/阪本朋子(ピアノ) フォンテック FOCD3257

 当曲はマリンバ協奏曲としては有名らしいのだがこれしか持ってない。古典的な外観にアメリカ流の軽妙な音楽が潜む。軽やかな木琴の音色をスタンダードによく捕らえている。なお、クレストンのマリンバ協奏曲は1940年の作曲で、これは世界初の木琴のコンチェルトのようである。


○リード:マリンバ小協奏曲

 リード/ウィンドカンパニー管楽オーケストラ/小川真由子(マリンバ) BRAIN MUSIC OSBR 21045

 吹奏楽伴奏によるマリンバ協奏曲も数あれど、高名なのはやはり吹奏楽の神・リードによるマリンバコンチェルティーノだろう。これはN響元首席ティンパニ奏者の百瀬氏の弟子である河野玲子の委嘱よる。3楽章制で17、8分ほどの、名前に反してけっこうな大作。1楽章ノクターン、2楽章スケルツォ、3楽章トッカータの、楽章ごとにテンポが速くなる序破急方式で、3楽章はドラムスも入ったブギのリズムが楽しい。リードにしては(失礼)オーケストトレーションも重くなく、佳品である。


ティンパニ協奏曲


〇西村朗:ティンパニ協奏曲 〜ティンパニと5パーシッカョンの為の協奏曲〜

 永曽重光(ティンパニ)/パーカッショングループ72 カメラータトウキョウ 30CM-89

 編成は室内楽だが、打楽器アンサンブルの為の打楽器ソロと残りのメンバーによる協奏曲というのはわりとある。ティンパニもおいしいが伴奏の打楽器アンサンブルも聴かせる。西村流のドローンとガムラン風リズミックがうまく表されている。


〇池野成:ティンパナータ

 有賀誠門(ティンパニ)/東京音楽大学トロンボーンアンサンブル 他 Sowbun record SOWR-1001/2

 協奏曲というにはちょっと特殊だが、明確なソリストがついているので含めた。冒頭は管楽器のテーマをティンパニが補佐するが、次第に盛り上がってティンパニが嵐の主役となる。ついでにティンバレスもおいしい。根幹のリズムがラテンなのも珍しい。


〇ドルシェツキー:オーケストラと6つのティンパニの為の協奏曲

 ピーター(指揮とティンパニ)/ドレスデンフィルハーモニー管弦楽団 NAXOS 8.557610

 バロックティンパニのためのコンチェルトで、ひたすらドンドコドンドコ和太鼓みたいなティンパニがめちゃくちゃ面白い(笑) そうだ、ティンパニは太鼓だったのだとしみじみ実感する。その音色はいま聴くとオモチャみたいでたいへん愛らしい。同盤に納められている他の曲も同じw


和太鼓協奏曲


〇石井真木:日本太鼓とオーケストラの為のモノプリズム

 岩城宏之/NHK交響楽団/鬼太鼓座(和太鼓) キングインターナショナル KICC 2019
 岩城宏之/NHK交響楽団/鬼太鼓座(和太鼓) NHKCD キングレコード KICD 3025(同上音源)

 ゲンダイ調の伴奏に和太鼓の原始的かつ民族的なリズムが交錯する、石井らしい名曲。石井の曲は先鋭な響きが魅力だが、ここではオケがその役割を担い和太鼓はあくまで原始的な生命力を保持している。


○和田薫:和太鼓とオーケストラのための協奏的断章「鬼神」

 和田薫/WDRケルン放送管絃楽団/林英哲・上田秀一郎・田代まこと(和太鼓) キングレコード KICC819

 ドイツでの自作演奏会のために書き下ろしたもの。6つの部分に別れた自由形式で、短い曲の多い和田にしては16分もあり、頑張っている。ハデハデで相変わらずアニメ調なのはご愛嬌だが、林の豪快かつ鬼気せまる和太鼓ソロが音楽を引き締めている。


○三枝成彰:太鼓協奏曲「太鼓について」

 大友直人/東京交響楽団/林英哲(太鼓)/大倉正之助(語り、能楽大鼓)/稲葉明憲(篳篥) メイ・コーポレーションKDC5041

 ボレロ形式であり、最初は太鼓は合いの手を演じ、朗読が主である。朗読と太鼓とオーケストラの協奏というより対決といった趣。30分もあって、録音からは、ソロとしての太鼓が聴こえるのは1/3も過ぎたころからという、不思議な曲。しかも、太鼓は一定のリズムパターンを繰り返すのみで、コンチェルトとは言い難いが、いちおう、最後の方に大きなアドリヴによるソロ部はある。曲想からして仕方がないが、音楽として長い。


ドラムス協奏曲


〇渡辺俊幸:Essay for Drums and Small Orchestra

 ブトリー/オーケストラアンサンブル金沢/ジョーンズ(ドラムス) ワーナー WPCS-12032

 珍しいドラムス協奏曲。オケとドラムスは音色が決定的に合わないが、ドラムスをマルチパーカッションとして扱うとまずまず合う。この曲は特に室内オケのために書かれており演奏は音色をオケに合わせる為に細心の注意と感性と技術を要する。調性音楽でありたいへん聴きやすい。


二重協奏曲


〇堀悦子:ティンパニ、チェロとオーケストラの為の協奏曲

 若杉弘/読売日本交響楽団/岩崎洸(チェロ)/有賀誠門(ティンパニ) EMI/TOWER RECORDS QIAG-50031・32

 メインはチェロだが、ティンパニもなかなかおいしい。1楽章はティンパニ、2楽章がチェロ、3楽章は両方のソロとなる。ティンパニは4本マレットで叩くそうである。ゲンダイ調だが、古典的な外観を持ち、むしろ聴きやすい。40分を要する大曲だが長さを感じさせず、聴き応えがある。


〇水野修孝:交響的変容第3部「ビートリズムの変容」

 岩城宏之/渡邉康雄・本多優之(副指揮)/東京交響楽団/林秀夫(日本太鼓)/細谷一郎(ティンパニ)/岡田知之打楽器合奏団 カメラータトウキョウ(私家盤) CDT-1017-19

 膨大な音楽である交響的変容4部作の第3部が、和太鼓とティンパニのドッペルコンチェルトという、太鼓好きには感涙滂沱の1曲。ただでさえ(こちらも)ドラムス筆頭に別動隊の打楽器アンサンブルが叩きまくるのに、そのうえにソリストのティンパニも和太鼓も叩く叩く(笑) 豪快極まりなく、まさにビートの饗宴。


○吉岡孝悦:マリンバとティンパニと4人の打楽器奏者のための協奏曲

 吉岡孝悦(マリンバ)/連雅文(ティンパニ)他 ALM RECORDS ALCD-7147

 これがなかなか面白いドッペルコンチェルト。10分ほどだが4つの部分に別れていて、起承転結をそれぞれ担う。マリンバはもちろんティンパニもおいしく上手にできている。ベターだが神秘的で語り口の上手な楽想も雰囲気が良い。


〇プーランク:オルガン、絃、ティンパニの為の協奏曲

 プレートル/フランス国立放送局管絃楽団/デュリュフレ(オルガン) EMI TOCE-9828

 オルガンがメインだがティンパニもある。ただし、伴奏の域は出ていない。あくまでオルガン協奏曲だが念のため記す。新古典的な作風の中にいかにも近代フランス風の瀟洒で小洒落た素敵な和音がつく。


○ミヨー:マリンバ、ヴィブラフォーンとオーケストラのための協奏曲

 タイス/オーストリア室内管絃楽団/ジブコヴィッチ(マリンバ、ヴィブラフォーン) Elscint M56809

 3楽章制で1楽章マリンバ、2楽章ヴィブラフォーン、3楽章その両方の協奏曲。ミヨーらしい簡潔で透明な音調の中に、しっとりとした鍵盤楽器のソロが光る。規模的には20分ほど。特にヴィブラフォーンの協奏曲は珍しく、いかにも幻想的な響きが心地よい。複調とは云えミヨー的な極端に交錯した音楽は少なく、たいへん耳触りがよい。マリンバも上品。1947年の作で、やはり古典的作品。


その他の協奏曲

○今井重幸:カスタネット協奏曲「ファンダンゴスに基づく協奏的変容」

 山田美穂/ノルトシンフォニカー/真貝裕司(カスタネット)YouTube
 
 元札幌交響楽団首席打楽器奏者である、カスタネット奏者の真貝裕司の委嘱による、おそらく世界初の本格的なカスタネット協奏曲。1楽章制で、フラメンコカスタネットのスーパー超絶技巧を必要とする。スペインの民族的リズムであるファンダンゴスに基づく変奏曲。現代的な序奏からファンダンゴスが現れ、カスタネットが夢幻の音色を奏でる。15分ほどのコンチェルティーのであるが、ヴォリュームがあり、異国情緒も満点で実に楽しい逸品に仕上がっている。


 バルトークの絃チェレはコンチェルトとは云えないし、打楽器ソナタはソナタなので除外しました。オケ版は持ってません。田中賢のメトセラ(メトセラII)は迷いましたが協奏曲では無く協奏的作品ということで除外しました。

 この手の曲はハズレも多く(というかハズレ多く)これからも率先しては集めないのだが(笑) カップリングなどで図らずも入手したり、どうしても気になるので買ったらゆるゆると更新して行きたく思います。


メモ

 日本の木琴協奏曲(年代順) 

 ※伴奏がオーケストラ、絃楽合奏、吹奏楽のもの。ピアノ伴奏のみのもの、オーケストラから吹奏楽、ピアノ等へのリダクション版は割愛する。

 紙恭輔:木琴と管絃楽のための協奏曲(1944) ←クレストンに続く、世界で2番目の本格的な木琴協奏曲と思われます。

 黛敏郎:木琴小協奏曲(1965)
 早川正昭:マリンバ協奏曲(1965)
 山田光生:マリンバ協奏曲(1968)
 三善晃:マリンバと絃楽合奏のための協奏曲 (1969)
 三木稔:マリンバ協奏曲(1969)
 渡辺浦人:「大和の幻想」〜木琴と管絃楽の為の協奏曲(1970)

 武満徹:ジティマルヤ(1974)
 伊福部昭:マリムバとオーケストラのためのラウダ・コンチェルタータ(1976)
 服部良一:子供のための木琴協奏曲〜こいのぼりの主題による(1977)
 松平頼暁:オシレーション〜マリンバと3群のオーケストラのための(1977)
 水野修孝:マリンバ協奏曲(1980)

 藤原豊:マリンバとオーケストラのための協奏曲(1984)
 土居克行:マリンバとオーケストラのための協奏曲(1987)

 保科洋:マリンバとバンドの為のカプリス(1991)
 安倍圭子:プリズムラプソディー〜ソロマリンバとオーケストラのための〜(1995)
 吉岡孝悦:マリンバとオーケストラのためのマリンバ協奏曲第1番(1995)
 石井真木:マリンバ協奏曲「M-2000」(2000)

 安倍圭子:プリズムラプソディーII〜2台のマリンバとオーケストラのための〜(2001)
 今井重幸:マリンバと打楽器とオーケストラのための協奏的変容「沖縄」(2003)
 野川晴義:マリンバとオーケストラの為の「ヴェリズモ/ガムラニア」(2007)
 林光:木琴協奏曲〜夏の雲走る(2007)
 真島俊夫:マリンバとバンドの為の協奏曲「睡蓮の花」(2007)
 広瀬勇人:ファンタジー〜マリンバと吹奏楽のための〜(2007)
 八木澤教司:マリンバ協奏曲(2008)
 真島俊夫:「大樹の歌」〜日本とブラジルの友好の年輪へ〜マリンバとバンドの為の協奏曲(2008)
 吉松隆:マリンバ協奏曲「バードリズミクス」(2010)

 加藤大輝:マリンバ協奏曲 -Around The World- (2012)
 一柳慧:マリンバ協奏曲(2013)
 和田薫:”The WAVE” 独奏マリンバと吹奏楽のための小協奏曲(2013)

作曲年等詳細不明
 山内忠:マリンバと小オーケストラのためのコティル
 大能正紀:マリンバ協奏曲
 加藤静子:マリンバ協奏曲1番・2番








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