新 田 真 子

 
 私の大好きなマンガ家です。好きでも、好きのレベルが違います。コレクターとかそういうのではなく、人格形成の根幹を成すマンガ家の1人です。

 つまり、中高時代にガッツリはまったマンガ家なんですね。しかしそれはあくまでマンガそのものであって、新田真子本人に、特に影響を受けているわけではありません。別に本人と知り合いなわけでもありません。

 つまり、新田真子は、そのキャラクター(画)に人格を奪われた、マンガ家なわけであります。

 あ、遅れましたが、この人は 「にったまこ」 ではなく、「しんだまね」 です。

 もうね、新田画命! に近いです。もう しんだえのみこと と読んで示申として崇めてます。

 昔は商業紙で描いたり、ラノベのイラストなども描いてましたが、いまは完全に同人誌レベルでしか活動していない模様です。もったいないというかなんと云うか。あと、同人では主にアダルトを描いてます。婦警さんシリーズは不朽の名作だと思います。

 ここでは、商業紙ベースで、新田先生の作品をご紹介し、意外と入手はしやすいので、ファン層の拡大に一躍担いたいなあ、と思いました。


THE RIDDLE

 少なくとも私が買った中ではいちばん古い商業コミック。1985年の短編集。そのタイトルどおり、怪奇趣味と幻想趣味、それに猟奇趣味、快楽趣味が適度にまじったもので、好き嫌いが分かれるところでしょう。けっこうエロイお話が多いが、私は怪奇趣味や幻想趣味はあるんですが、かんじんの猟奇趣味が無いので、さっぱりエロく感じません。画も初期のもの。マンガというよりコマのひとつひとつがイラスト集のような感じ。

RUSH

 ちょっとHとギャグテイストの混じった、重SFマンガ。

 VA = Variable  Tranceformable  Arm-droid 自在可変兵装ロボット

 という兵器概念はいまでも斬新だ。

 フェントン効果場という特殊力場に封印された高エネルギー集合体が原子レベルで擬似物質を形作り、エネルギー体(正確には多面構造体状にエネルギーを封じ込める効果場の表面)そのものにプログラムを走らせるため、理論上は光速演算が可能な上、その効果場自体が超高速演算自立型コンピューターでありつつ、人型汎用自立兵器でもある。

 しかも、美人の女の子なんでっせーッ!! 

 さらに、VA-I型アリシアは、製作者のガジェット博士の趣味で、さいしょに「いたした」方の支配下におかれるとゆー特殊プログラム(爆)

 そんなギャグ設定が、後のシリーズではVA型の最大の弱点になろーとわ!www
 
RIOT

 Rシリーズの第2作。商業コミックでは、この第1巻で終わっている。もともと単行本化の遅いマンガだったが、掲載誌廃刊により、永久に封印されたのか……。

 悲しいことです。

 RIOTから、VA型アンドロイドが4姉妹として4体、登場する。   

 VA-I型 アリシア
 VA-II型 バーバラ
 VA-III型 シンシア
 VA-IV型 ダイアナ
 
 これにVA-V型 エレノアまでガジェット博士は作成する予定だったが、エレノアの作成はバーバラとシンシアに阻まれ、ダイアナも構成エネルギー不足で子どもの姿となる。名前がすべてABCDEで始まるのもシリーズの特徴のひとつ。
 
 このアンドロイドたちの武器は怪力や超高速行動による格闘戦と、擬似核融合により発生させた熱エネルギーによる(これは疑似核反応を通して自分の構成エネルギーを放出している)プラズマ攻撃、電磁攻撃、高熱ビーム攻撃、電撃攻撃、等等等。

 バーバラ型からは、太陽光線等でエネルギーの自己補充ができ、シンシア型では自分で放出した周囲の余剰熱エネルギーを回収できる。また、彼女らはいうなれば自分の身体を削って攻撃しているため、高エネルギー集合体としての身体そのものにプログラムを走らせている分、激しい攻撃をすればするほど、プログラムも壊れてゆく。やもすればプログラム回復が間に合わず、雪崩をうつように全崩壊するため、攻撃出力を自動的に抑えているが、シンシアはその自己崩壊防止のための対消滅用高速プログラム回復変換を可能にしため、100%の出力攻撃ができる。

 またダイアナ型には対VA兵器として、フェントン効果場へ干渉し、エネルギー場をそのもの破壊する特殊プログラムが組まれている。それは、VA型の敵はVA型という概念に基づく。VA型の弱点は、力場そのもので構成されているため、実体をもたないことにより、空間干渉攻撃に弱い。

 シンシアは空間破砕砲とダイアナの干渉波攻撃で構成エネルギーの大半を失い、かつ、自ら禁則の干渉系プログラムを組んで走らさせたことにより、自己プログラムに致命的なダメージをうけた。

 物語は、自我を有する分、おのれらの存在価値に悩み、人類へ戦いを挑むVA-II型バーバラの想いを核に、シンシアやアリシア、軍や特殊能力機関ユニヴァーサルのマニ少佐やテデスコ大尉との戦いをメインに進む。

 未刊が惜しまれる、戦争意義、兵器の存在価値をも考えさせられる、すばらしいSFマンガです。

未単行本化 

RAGE
 
 ストーリー的には、RUSHとRIOTの中間。ここでは、VA型の実体化実験機VA-02オメガ(唯一の男性型)と、バーバラの兵器としての自己存在意義を悩み葛藤する自我確立の過程、それに自立型であるVA兵器を外部よりコントロールする「接点」の存在が、自我存在兵器としてのVA型のもの悲しさをよく出している。

 なかなか趣深い外伝となっている。

RESSURECTION

 シリーズ最長編を誇るも、連載誌廃刊の憂き目にあい、幻の作品となる。これだけ、未完。

 ストーリーはRIOTより150年後くらい。

 VA型兵器を二度と生みださせないため、生みの親のガジェット博士を殺し、逃亡した、VA-I〜IVまでのプログラム合体型「エレノア(オリジナル)」が人類に捕らえられ、強力な力場の「檻」に封印されている。クローン人間として「接点」の能力を代々引き継ぐエレンディラ(5代目)が主人公。接点により、VAプログラムは少しずつコピーされ、これ以上VA兵器を生み出したくないという「オリジナル」やマニ少佐の想いを踏みにじっている。ちなみに、接点はVAに干渉することで脳幹が破壊され、やがて死に至る。その非人道的な行為により、PCナンバーズという試作量産型や、VACという高性能コピー型が生み出されている。

 オリジナルが解放され、VA兵器の秘密を得ようとする宇宙移民独立勢力(?)や、各種VAを保有するユニヴァーサル機関、さらにはマニ大佐の想いを受け継ぐテデスコ(サイボーグでまだ生きてる!)、マニのひ孫マハート、エレンディラ、6人目の接点フォルテシアとの物語が、さあこれから盛り上がって参りました!! というところで中断。

 我々新田ファンはもう20年以上も、ガックリのまま……。

 な ん と か な ん ね え の か 

ハイパークラブ

 RUSH、RIOTと並んで、新田マンガを代表するSF学園コメディ。

 中等部から大学まで、学力、スポーツと、日本中から才能ある若者を集めている私立都筑学園で、科学部(超越科学研究会=ハイパークラブ)の大河内と山田が周囲の面々と繰り広げる非日常的かつどこか郷愁をさそう(80年代だもんなー)楽しくもはちゃめちゃな日々を扱った学園青春エンタメマンガ。

 いやーこれもハマったなー。

ハイパークラブ2 さよならの果実たち  

 ハナシはやや前作よりSFタッチなものが減り、夏休みの情景とか、ふつうの学園マンガっぽくなったので、これも好き嫌いが分かれるところか。この人のこういうふつうの新田マンガは、ストーリーがあるようなないような、こういう超人的なキャラの日常が淡々と描写されて、淡い心情変化を楽しむ事ができる。新田キャラの憂いを帯びた表情は、新田真子の神髄でもある。

RAKE

 RIDDLE以来の、久々短編集。中身は、古いものから新しいものまでさまざまなので、絵柄に差があるが、どちらも味がある。昔の画は背景にベタ(黒)が多く、全体的に仄かな暗さがあって、独特の雰囲気だったが、90年代半ばころより、背景に白が多く、人物(キャラ)がくっきりと際立っていることが多くなった。

 ちょっとHっぽい話がまじっているが、イマイチ中途半端である。

春が来た

 これも短編集で、描かれた時代も違うので絵も差がある。またハイパークラブの大河内、山田の3年先輩の、花小金井や吉貝らの話だが、基本的にパラレルワールドとなっている。エセ科学ハナシがメインだが、エロもいい感じに明るく仕上がっていて、新田マンガの真骨頂でもある。
 
 しかし吉貝博士(よしかいひろこ)は典型的なツンデレのハシリで微笑ましい。

学校へ行こう

 1998年発行の、新田真子最後の商業コミック。おそらく、売れるには売れるのだが、バカペイするほどでもなく、再販もできず、書下ろしには新田センセはリスクがありすぎるし、云々、で、仕事が来ず、来ても対応できず、同人界に流れて行ったのだろう。

 新田真子は、商業紙の厳しい制約がないと、きちんとした作品を書けるタイプではないので、せめて雑誌掲載が必要。同人程度の締め切りでは、ひどいと平気で鉛筆書きになってしまう。

 これもソフトH短編集(と、銘打ってある)が、まあそんな感じ。ほんわかした新田絵を楽しめる。新田センセの書く女生徒はほんとうに可愛いしエロイ。

 この最後には、またもハイパークラブ短編が載っているのも嬉しい。今度は、大河内や山田のずっと下の年代で、床の抜けた旧クラブハウスは事情により全焼してしまった(笑)  

 SFアクションからアダルト、それに学園もの、青春マンガ、さらにはパロディまでこなし、画も他の追随を許さぬオリジナリティを誇る。

 これが、マイナー作家に甘んじているという状況もまた、ディープなファンの間でアングラな伝説を生み出す背景なのかもしれない。


2007/08/28

 相互リンクして下さっている絵師のBADさんより、素敵なVA-IV型ダイアナのイラストを頂きました!!

 無断転載等禁止 

 

 た、たまらん………!!!(´Д`;)ハァハァ

2008/11/10

 バーバラが届きましたー!!

 





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