室内交響曲について(小文)
思うところあって室内交響曲というジャンルに非常に興味があり、チビチビ調べていた。聴いたことがあるものもあるが、ほとんど無い。
室内交響曲は意外に新しいジャンルであり、思っていたより作品が少ない。個別に調べたのが、以下の通り。まだ知らない曲もあると思う。なお、作者以外の編曲作品も含んでいる。
なお、ここではタイトル主義に則り、事実上の室内交響曲……「交響曲第○番〜室内オーケストラのための〜」や「交響曲第×番(室内楽編成版)」、「弦楽のための交響曲」は、除外している。
作曲者 | 題名 | 作曲年 | 備考 |
ヴォルフ=フェラーリ | 管楽器、弦楽合奏のための室内交響曲 | 1900 | |
ユオン | 室内交響曲 | 1905 | |
シェーンベルク | 室内交響曲第1番 | 1906/23 | 大オーケストラ版(1914/35)あり |
室内交響曲第2番 | 1916-40 | ||
トッホ | 室内交響曲 | 1906 | |
ツェムリンスキー | 室内交響曲(弦楽四重奏曲第2番) | 1915 | デュンサー編曲 |
シュレーカー | 室内交響曲 | 1916 | |
シュミット,オーレ | 室内交響曲 | ? | |
ズーダー | 室内交響曲 | ? | |
ミヨー | 室内交響曲第1番「春」 | 1917 | |
室内交響曲第2番「パストラール」 | 1918 | ||
室内交響曲第3番「セレナード」 | 1921 | ||
室内交響曲第4番 | 1922 | ||
室内交響曲第5番 | 1922 | ||
室内交響曲第6番 | 1923 | ||
ポポーフ | 7つの楽器のための室内交響曲 | 1927 | 単に七重奏曲とも |
ロースラヴェツ | 18人の奏者のための室内交響曲 | 1935 | |
ショスタコーヴィチ | 室内交響曲(弦楽四重奏曲第1番) | 1938 | バルシャイ編曲 |
室内交響曲(弦楽四重奏曲第3番) | 1946 | バルシャイ編曲 | |
室内交響曲(弦楽四重奏曲第4番) | 1949 | バルシャイ編曲 | |
室内交響曲(弦楽四重奏曲第8番) | 1960 | バルシャイ編曲 | |
室内交響曲(弦楽四重奏曲第10番) | 1964 | バルシャイ編曲 | |
アイスラー | 室内交響曲 | 1940 | |
エネスク | 12の独奏楽器のための室内交響曲 | 1954 | |
スヴィリードフ | 室内交響曲 | ? | |
外山雄三 | 室内交響曲 | 1958 | |
タンスマン | 室内交響曲 | 1960 | |
チャイコフスキー,ボリス | 室内交響曲 | 1967 | |
イヴァノフス | 交響曲第14番「室内交響曲」 | 1971 | 副題が正式に室内〜なので掲載 |
ラッブラ | 交響曲第10番「室内交響曲」 | 1974 | 副題が正式に室内〜なので掲載 |
ノルドグレン | 室内交響曲 | 1976 | |
アホ | 室内交響曲第1番 | 1976 | |
室内交響曲第2番 | 1992 | ||
室内交響曲第3番 | 1996 | ||
デニーソフ | 室内交響曲第1番 | 1982 | |
室内交響曲第2番 | 1994 | ||
サクストン | 室内交響曲「光の輪」 | 1986 | |
一柳慧 | 室内交響曲第1番「タイム・カレント」 | 1986 | |
室内交響曲第2番「アンダーカレント」 | 1993 | ||
尹伊桑 | 室内交響曲第1番 | 1987 | |
室内交響曲第2番「Den Opfern der Freiheit」 | 1989 | ||
ヴァインベルク | 室内交響曲第1番 | 1987 | |
室内交響曲第2番 | 1987 | ||
室内交響曲第3番 | 1991 | ||
室内交響曲第4番 | 1992 | ||
カプースチン | 室内交響曲 | 1990 | |
アダムス | 室内交響曲 | 1992 | |
アデス | 室内交響曲 | ? | |
西村朗 | 室内交響曲第1番 | 2003 | |
室内交響曲第2番「コンチェルタンテ」 | 2004 | ||
室内交響曲第3番「メタモルフォーシス」 | 2005 | ||
室内交響曲第4番「沈黙の声」 | 2013 | ||
室内交響曲第5番「リンカネイション〜転生〜」 | 2016 | ||
久石譲 | 室内交響曲 〜エレクトリック・ヴァイオリンと室内オーケストラのための〜 | 2015 | |
室内交響曲第2番《The Black Fireworks》〜バンドネオンと室内オーケストラのための〜 | 2017 |
この通り、2023年執筆現在調べで、編曲ものも含めて55曲。他に知らない曲があったとしても、100曲は無いのではないか。
まぎれもなく20世紀生まれの現代のジャンルである室内交響曲、現代作曲家も手をつけやすそうだし、資金的に大オーケストラを手配するのが難しい昨今、注目されるジャンルになるのではなかろうか。
また、いまさら交響曲なんて恥ずかしくて書けないという現代作曲家は、下手なラノベみたいな謎タイトルの曲ばかり書くのもよいが、世界に数十曲しかないニッチなジャンルに挑戦してみてはいかがだろうか。
なお、弦楽のための交響曲も似たような状況で、探せば室内楽編成の傑作も多いのだが、フルオーケストラ並の弦楽編成を求める曲もあり、室内交響曲とは完全に別物であると私は認識している。
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