ファンタジーなクラシック 20
NIREHTYLS ! テンシュです!
さて、この発表も回を重ね、いつのまにやら20回になりました。
今回はムソルグスキーの交響詩「はげ山の一夜」です。
魔女の夜会(サバト)を描いたとされるこの曲、スラヴ神話の悪神チェルノヴォークも登場します。
曲はA−B−A′−コーダと進みます。
冒頭からの迫力ある音楽は、禁断の森で突然怪物に遭遇したときにぴったりでしょう。
続くBの部分は、ホグワーツ城の動く階段や不思議な様子の描写によくあいます。ファンファーレはクィディッチ?
A′はまた最初の雰囲気に戻ります。しかしこんどは少しテンポも早く、いよいよ夜会もクライマックス、怪物から命からがら逃げるハリーとロンでもいいかもしれません。
突然、曲は静かになります。朝がきたのです。
(教会の鐘が鳴ります)
この静謐な感じは、ホグワーツの神秘的で静かな朝の描写に、ぴったりでしょう。
この曲は名前は有名ですが、CDはそんなに無いです。でも大きなお店や図書館、レンタル屋さんにはあると思います。
なぜ有名なのに録音が少ないか。
ムソルグスキーといえば「展覧会の絵」のほうが売れるからだとわたしは思ってます。
☆ ∽§∽ ☆
DATA
作曲者 モデスト・ムソルグスキー(1839−1881)
編曲 ニコライ・リムスキー=コルサコフ
曲名 交響詩「はげ山の一夜」
マイナー度★
難易度★
ファンタジー度★★★★
聴かなきゃ損度★★★★
まこと音楽とは、何者にも勝る魔法です!
SERPIENTE !
ファンタジーなクラシック 19
NIREHTYLS ! テンシュです!
今回はファンタジーにして、とてもロマンティックなクラシックを。
それはイギリスの文豪シェイクスピアによる傑作「ロメオとジュリエット」です。
ロメオとジュリエット(略してロメジュリ)は、有名どころでは3人の作曲家が音楽にしています。
チャイコフスキーの「幻想序曲ロメオとジュリエット」
ブロコフィエフの「バレエ音楽ロメオとジュリエット」
ベルリオーズの「劇的交響曲ロメオとジュリエット」
(番外でバーンスタインの「ウェスト・サイド・ストーリー」)
この中でプロコのロメジュリは吹奏楽にもなり、組曲にもなっています。バレエですから、最も分かりやすいです。
今日はしかしチャイコ先生のロメジュリを聞いてみましょう。
クラシックを楽しむ要素の一つ「象徴」がふんだんに使われており、なかなか奥の深い音楽だからです。
ロメオ18歳
ジュリエット14歳
音楽は物語を正確につづってゆきます。
最初の木管は物語の開始です。
次に緊張感のある、悲しいメロディーが、二人の定め、両家のいさかいを表しています。続く平和なメロディーが、二人の出会いです。ポロンポロンというハープの和音が、愛を表します。低音は、両家の憎しみのモチーフです。しばらくこの二つが聞こえたり消えたりします。
そして、長い闘争の始まりです。ティンパニの連続音より、テンポがアップし、ついに、両家の戦いが始まります。
ジャンジャン鳴るシンバルは戦う人々の剣の音です。
闘争が終わると、ついに主人公二人の登場です。ロマンティックな雰囲気の中、ホルンがロメオ、フルートがジュリエットだそうです。
ラヴラヴでいいなあ〜。
ところが、再び闘争のモチーフが登場し、二人のいい感じをぶち壊します。
そしてこれは前より激しいのです。
ところが、その中に突如としてまた愛のモチーフが蘇ります。憎しみを振り払うかのようです。がんばれ、二人!! 愛は永遠だ!!
しかし……それは儚い夢、かなわぬ愛だったのです。
愛のモチーフは憎しみのモチーフにより分断されてしまいます。引き裂かれる二人。トロンボーンの重奏が悲劇を象徴します。シンバルが戦闘の象徴です。
メロディーはどんどん下降し、ついに、暗く、沈んでしまいます。
二人は自殺します。
ティンパニの連打が死の象徴です。
バイオリンに聞かれる清浄な雰囲気は、二人の死で両家が和解したのを表します。
最後はジャジャーン!! と大団円。
☆ ∽§∽ ☆
DATA
作曲者 ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840−1893)
曲名 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
マイナー度★★
難易度★★
ファンタジー度★★★
聴かなきゃ損度★★★★
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ファンタジーなクラシック 18
NIREHTYLS ! テンシュです!
今年もファンタジーなクラシック、よろしくお願いします。ネタあるかぎり、続けてまいります。
さてホントなら辰年が良いのですがゼイタクはいえませんので、午年いっぱつめは、イギリスの作曲家、フィリップ・スパークの「ドラゴンの年」です。吹奏楽の曲です。
私はまだ観てないんですが映画「ブラス!」でもあるように、イギリスは吹奏楽といっても打楽器の他は全部金管の金管バンド(金管=ブラス=真鍮)がスゴイ盛んでして、もちろん日本のような木管・金管・打楽器のウィンド・バンドもあるんですが、金管(ブラス)バンドのほうがメジャーなようです。
「ブラス・バンド」は正確にはそのイギリス式の金管バンドのことを指します。日本・アメリカで主流の木管楽器が入るのは、ウィンド・オーケストラ、ウィンド・バンドといいます。ちなみにオランダやフランスでは、金管にサックスやビューグルという楽器を含んだ「ファンファーレ・オルケスタ」という形態のバンドが盛んだそうです。
同じ吹奏楽でも国によって文化がちがって面白いですね。
そんなわけでイギリスの作曲家は金管バンドのための曲をたくさん作ってます。たいていは日本やアメリカでも出版できるように、ウィンド・バンド版にも編曲されてます。
この「ドラゴンの年」も、元は金管バンド用の曲ですが、日本のCDではウィンド版です。
このドラゴンというのは日本の辰年や中国マフィアの同名映画とはぜんぜん関係なくって、ウェールズの国章の「レッド・ドラゴン(赤竜)」のことです。ウェールズのバンドの創立100周年記念に曲の注文を受けたからです。創立100周年というのがイギリスにおける金管バンドの歴史の古さを実感させてくれますね。
曲は途切れなく演奏される3つの部分からなってます。
トッカータ:鋭い打楽器と金管のファンファーレによる戦士の舞曲風の音楽。レッド・ドラゴン(ウェールズ)のケルト戦士でしょうか?
間奏曲:静かな森の音楽みたいな美しい部分です。
フィナーレ:再び激しい音楽が戻ります。しかし民謡のような旋律も現れて、鐘が鳴り渡り、お祭りも思わせます。木管楽器が鬼みたいな連続音で旋律を奏でますが、金管バンド版はそれをユーフォニウムやコルネットが超絶テクニックで吹いてビックリです。最後はマーチ調になって華々しく終わります。
吹奏楽やイギリス音楽が好きな人は、必聴の曲といえましょう。
☆ ∽§∽ ☆
DATA
作曲者 フィリップ・スパーク (1951− )
曲名 ドラゴンの年
マイナー度★★★★
難易度★
ファンタジー度★★★★
聴かなきゃ損度★★★
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ファンタジーなクラシック 17
NIREHTYLS ! テンシュです!
本当は大晦日に投稿しようと思いましたが、明日から冬休みということで急遽本日です。
ファンタジーではありませんが、年末ということで「第九」です。
4楽章の歓喜の歌のメロディーは、日本人なら知らない人はモグリ(?)でしょう(笑
しかし、最初から70分間通して聴いたことがある人は、もともとクラシックファンの人以外、あんまりいないのではないかと思います。
まあ、長いですからしょうがないかもしれません。
と、いきなり第九の裏話ー!!
ある日、ベートーヴェン先生は新作交響曲の仕事を受注し、ガリガリ作曲しておりましたが、どうしても3楽章まで書いてあとが続きません。ああッッ! 〆切がもうすぐそこまで!!
どうしよう、どうしよう、ああー、どうーしーよーうー!!
あのライオンヘアーをかきむしります。
と、ふと、途中まで書いてほっぽっておいた合唱と管弦楽のための作品が目にとまりました。
おお! これだ、こいつを4楽章にしちまおう!!
それがなんと「歓喜の歌」です。
しかし……いままで普通に音楽が進んできたのに、いきなり歌かあ!?
さすがの先生も、ちょっと無理があるのを感じました。
そうだ! まず順番に1楽章から3楽章まで主題を登場させ、それを打ち消すという形で歓喜の主題をだそう! 我ながらグッドアイデアだ!
あとはもう、バンバン筆が進み、〆切にも間に合い、ついでに人気もすごい出て、いまや世界中で愛されています。
……信じられます?(^- ^)
最新の研究では、どうもこのような事情らしいです。ホントでしょうかね。
どうでもいいですけどこの9番交響曲はティンパニがウルトラスーパーグレートハイパーデンジャラス超超超超いい感じにおいしいです。
いつか演奏してみたいなあ。夢の曲ですよ。
そのぶんすごい難しいのですが……。
機会がありましたら4楽章だけでもぜひどうぞ!
でもやはりこの曲はぜんぶ聴いて本当においしいです。
それもメロディーを覚えるまで聴きこむと、4楽章における前楽章の否定の過程とかも理解でき、そうなると上のウラ話もあってさらにおいしいです。
それではみなさま、よいお年を!
☆ ∽§∽ ☆
DATA
作曲者 ルードヴィヒ・ヴァンベートーヴェン(1770−1827)
曲名 第9交響曲 ニ短調 作品125 「合唱付」
マイナー度
難易度★★★
ファンタジー度★★
聴かなきゃ損度★★★★
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ファンタジーなクラシック 16
NIREHTYLS ! テンシュです!
クリスマスが楽しい人もどうでもいい人も、鈴の音を聞くとなんだか心が弾みませんか?
こんな日はクリスマスの超定番・アンダーソンの「そりすべり」を!
アンダーソンはアメリカの作曲家で、楽しい音楽を山のように作った人です。クリスマス・メドレーとか子猫のワルツ、タイプライター、狂った時計、トランペット吹きの休日……CDもたくさんあります。
そり滑りはようするにジングルベルの音楽です。アメリカの人らしく、途中でジャジーな部分もあります。(吹奏楽版では、この部分はカットされてます。)
☆ ∽§∽ ☆
DATA
作曲者 ルロイ・アンダーソン(1908−1975)
曲名 そりすべり
マイナー度★
難易度★
ファンタジー度★★★
聴かなきゃ損度★★★
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ファンタジーなクラシック15
NIREHTYLS ! テンシュです!
さて、久しぶりのファンタジーなクラシックは、冬のクラシックです。
な、なんかビールみたいですが……冬といえば、この北の大地よりもっと北の国、ロシアの作曲家です。
こんな寒い日々には、チャイコフスキーの交響曲第1番「冬の日の幻想」をどうぞ!
これは作曲者が名付けた、正式なタイトルです。
ちなみにベートーベンの「運命」とか、ピアノ協奏曲の「皇帝」とかは、後の人がつけたもので、正式なものではありません。
全曲にロシア民謡がメロディーとして散りばめられ、とても聞きやすいです。さすがに交響曲なので全曲を通して聞くと45分ぐらいで長いですが、そういう時は1楽章だけ、2楽章だけ、とバラバラにして聞くと良いです。
タイトルがついていても標題音楽ではありませんので、具体的な吹雪の描写とか、ソリの鈴とかが聞こえてくるものではありません。
ロシアの冬の暗い幻想的な雰囲気、わびしさや冷たさを、美しい民謡調の音楽で味わうものです。(特に3楽章は暗い)
4楽章はしかし、春を待ちわびる民衆パワーが炸裂します。コサックダンスみたいなメロディーも登場します。
∽§∽
DATA
作曲者 ピョートル・チャイコフスキー(1840−1893)
曲名 交響曲第1番 ト短調 作品13 「冬の日の幻想」
マイナー度★★★
難易度★★
ファンタジー度★★
聴かなきゃ損度★★★
まこと音楽とは、何者にも勝る魔法です!
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ファンタジーなクラシック 14
NIREHTYLS! テンシュです。
本日は妖精に関するクラシックです。
妖精とか、なんだとかっていう題材はけっこうロマン派のクラシックに登場します。その中でも、メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」は、最高にファンタジックでロマンティックなものではないでしょうか?
シェイクスピアの戯曲「真夏の夜の夢」のために書かれた劇付随音楽です。つまり劇のBGM。昔はBGMも生演奏でした。
その中から、今回ご紹介するのは「妖精たちの行進」と「妖精の歌」です。
組曲版と全曲版がありますが、全曲のほうに間ちがいなく入ってると思います。
妖精たちの行進はアップテンポでコミカルな調子の短い音楽で、ぜひ、我らが(笑)ロックハート先生にお聞かせしたい!
妖精の歌は、妖精の女王のための子守歌なんですが、その歌詞の題がなななんと
「お前たち、まだら模様のお蛇さん You spotted snakes」
っていうのです!!
どうも、魔よけの歌のようですよ。(すなわち魔法の歌)
シェイクスピアですので、とうぜん英語です。私の持ってるCDではソプラノとメゾ・ソプラノの人が歌ってます。
また、この真夏の夜の夢には、いまでも結婚式とか披露宴で定番の
パパパパーン
パパパパーン
パパパパン、パパパパン……
のフレーズで始まる「結婚行進曲」が7曲目に入っています。
じつはこの劇のために書かれたBGMだったのです。(とうぜん結婚式のシーン)
∽§∽
DATA
作曲者 フィリックス・メンデルスゾーン(1809−1847)
曲名 劇付随音楽「真夏の夜の夢」より
「妖精たちの行進」
「妖精の歌」
ついでに「結婚行進曲」
マイナー度★
難易度★
ファンタジー度★★★
聴かなきゃ損度★★★
まこと音楽は何ものにも勝る魔法です!
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ファンタジーなクラシック 13
NIREHTYLS! テンシュです。
寮花辞典、とてもすばらしいですね! リンドウはたしか私は投票したはずです。竜胆という字もいいし、花も凛として素敵。響きも良いです。
秋の実(みっこ)は、私もナナカマドを推薦したので、ナナカマドに投票しましたが、惜しくも敗れたようです。
さてそこで! 本日はお花に関するクラシックをあれこれ探してみたいと思います。
とはいえ、オーケストラ音楽でお花に関するもの……あるようで無い。私が知らないものもたくさんあるのでしょうが……。
チャイコフスキーのバレエ「くるみ割り人形」より「花のワルツ」も良い。
吹奏楽ではオリヴァドーティの「バラの謝肉祭」も素敵です。
マーラーの交響曲第3番の第2楽章は「花が語る」というロマンティックな副題がついています。
シュトラウスのオペラ「バラの騎士」は、直接はお花とはあまり関係はないのですが、いちおう。
名前だけなら、ヴェルディのオペラに「椿姫」というのがありますね。
と、そこで、恐らくこの世で最もメルヘンチックでロマンティックで少女チックなクラシック音楽をご紹介致しましょう!
それは日本人の作曲家、吉松 隆 のピアノ協奏曲「メモ・フローラ」です。
この人の音楽はどれも夢見るように優しく繊細でとても儚く、かつアグレッシヴです。
この協奏曲は北海道出身のピアニスト、田部京子さんに触発されて書かれ、献呈されています。
田部さんは本当にお花か水滴のような瑞々しく、優しいタッチでピアノを弾く方で、唯一のCDでも、ソロを務めております。シューベルトとかシベリウス、ドビュッシー等の作品のCDも出しておられます。
作曲者によりますと、「メモ・フローラ」とは、「花についての覚え書」という意味で、宮沢賢治の残した花壇の設計に関するノートからとられたとの事。
FLOWER(花)
PETALS (花びら)
BLOOM (花)
と名前のついた急・緩・急の3楽章からなっています。
さらには(少々専門的で私もよくわからないのですが)「モーツァルト最後の変ロ長調の協奏曲(第27番K.595)と同じ調性・同じ形式(3楽章)・同じ編成(2管編成)による静かで美しいピアノ協奏曲」 と言っています。
こんな美しくも繊細で儚い音楽は、私は聴いたことがありません。お花畑を走る一陣の風……舞い散る花びら……睡蓮や蓮が満開の池を朱鷺がとぶ……そんな風情です。
CDは1 枚しかありませんが、大きなCD屋さんにはあると思います。この人のCDはよく売れていますので。輸入盤ですので、日本語解説のついたものを買うのをお薦めします。
∽§∽
DATA
作曲者:吉松 隆 よしまつ たかし (1953− )
曲名:ピアノ協奏曲「メモ・フローラ」
マイナー度:★★★★
難易度:★
ファンタジー度:★★★★
聴かなきゃ損度:★★★★★
まこと音楽とは、何物にも勝る魔法です!
SERPIENTE !
ファンタジーなクラシック 12
NIREHTYLS! テンシュです。
いや〜、北の大地は日に日に寒くなって、もう夜はストーブがかかせませ〜ん。
さて本日はケンタウロスの占星術をイメージして、ホルスト作曲、組曲「惑星」を。
じっさいこの惑星という曲は、作曲者が占星術のタロットカードよりヒントを得て作られてますので、ケンタウロスの星読みとは、まったく合っています。(……日本語変です?)
けしてスターウォーズではないんです。
以下の7曲からなり、タロットに基づいた副題がついてます。
1.火星(マーズ:戦争を司るもの)
2.金星(ヴィーナス:平和を司るもの)
3.水星(マーキュリー:翼のある使者)
4.木星(ジュピター:快楽を司るもの)
5.土星(サターン:老いを司るもの)
6.天王星(ウラヌス:魔術を司るもの) ← おお!
7.海王星(ネプチューン:神秘を司るもの) ← さらにおお!
ちなみに当時、まだ冥王星は未発見です。
火星は、一定のリズムに支えられた戦いの音楽で、闘争の不安と戦場の轟音が聞こえます。
金星は一転してゆっくりとした美しいメロディーです。でも美を司るんじゃなくって、平和なんですね。
水星はあんまりパッとしたイメージないんですよね、私……(^‐^)
木星は快楽と訳されてますが、快活とかのほうがピンときます。パーティーでもしている楽しさです。ホルストはイギリスの作曲家ですが、中間部のゆっくりした部分のメロディーは、イギリスではとても有名で、エルガーの威風堂々級です。
土星は最も通好みの1 曲でしょう。ホルスト自身も、この曲がいちばん好きだったようです。
私が最も好きなのは、次の天王星です。なぜってティンパニがおいしいから〜。魔術というとオドロオドロしく、闇の魔法系ですが、この曲はそんなことはなく、跳ねるようなリズムの、ポップな魔法です。
海王星ではステージ裏に女性コーラスも登場し、神秘さを強調します。ステージの裏ですので、姿は見えません。声だけが(本当、宇宙空間にひんやりと響く、宇宙戦艦ヤマトのコーラスみたいです)ひっそりと聞こえてきます。CDではそのひっそり感がイマイチですが、実演では、ウットリです。
ちなみに大学時代、友人を連れて札幌交響楽団の惑星を聞きに行った時、最後にこのコーラスが聞こえてきて、事情を知らない友人はビックリして、 「なに、なにこれ人間の声!? どっから聞こえてきてんの!?」 と、曲そっちのけで焦ってたのを思い出します(^^)
毎回長くてすみません。
興味がありましたら、この曲は有名ですので、大きなレンタル屋さんでもあるかもしれません!
∽§∽
DATA
作曲者:グスターヴ・ホルスト(1874−1934)
曲名:組曲「惑星」
マイナー度:★
難易度:★
ファンタジー度:★★★
聴かなきゃ損度:★★★★
まこと音楽とは、何物にも勝る魔法です!
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ファンタジーなクラシック 11
NIREHTYLS! テンシュです。
室内楽も素敵ですけど、やっぱりぼくはオーケストラだなあ。
研究発表第11弾は、お伽話のクラシックを。
以前、紹介したチャイコのバレエ「くるみ割り人形」も原作はホフマンの童話でした。
同じように、ドイツのフンパーディンクという人は、ズバリ「ヘンデルとグレーテル」というオペラを書いていますし、ドイツのリヒャルト・シュトラウスという人は、ドイツ民話「ティル・オイレンシュピーゲルのゆかいな悪戯」をそのまま同題の交響詩にしています。
今回ご紹介するのは、ハンガリーのお伽話「ハーリ・ヤーノシュの物語」を元に、コダーイという人がオペラを書いて、後に管弦楽の組曲した、組曲「ハーリ・ヤーノシュ」です。
ハリーじゃなくてハーリです。(^‐^)
組曲は次の6曲からなっています。
1.序曲:お伽話がはじまる
2.ウィーンの音楽時計
3.歌
4.合戦とナポレオンの敗北
5.間奏曲
6.皇帝と廷臣の入場
序曲は、いきなりオーケストラによる「クシャミ」からはじまります。これは、ハンガリーの迷信で、話の途中に誰かがクシャミをしたらその話は本当だ、というのからきています。
音楽時計は、実に洒落た曲です。
歌、では独奏のビオラが素朴なメロディーを奏で、ハンガリーの民族楽器「ツィンバロン」も登場します。(ツィンバロンは、並んだ弦を木琴のバチみたいなので叩く楽器です。なんと日本の琴に似た音がします)
次は、ハーリがたった1 人でナポレオン軍をやっつける描写です。お伽話ですから、ユーモラスで、ファンタジックです。
間奏曲はハンガリーの舞曲をイメージしています。ここでもツィンバロンが大活躍です。
最後は、オペラの筋とは順番が違うのらしいですが、オーストリア=ハンガリー皇帝と家臣たちがファンファーレと共に宮廷に入ります。得意満面なハーリもいます。
が、どこか抜けています。
楽器の使い方がとにかく上手で、ファンタジックです。
メロディーも分かりやすく、実に楽しい音楽です。
興味と機会がありましたら、ぜひぜひどうぞ!!
∽§∽
DATA
作曲者:ゾルタン・コダーイ(1882−1967)
曲名:組曲「ハーリ・ヤーノシュ」
マイナー度:★★
難易度:★
ファンタジー度:★★★★
聴かなきゃ損度:★★★★
まこと音楽とは、何物にも勝る魔法です!
セルピエンテ。
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