ファンタジーなクラシック60

 > スキラさん

 サン=サーンスのバッカナールは吹奏楽にも編曲されていますので、コンクール等でお聴きになられた方も多いと思われます。
 
 さてその吹奏楽の分野では、もうひとつ、欠かせないバッカス神の音楽があります。フランスのシュミットが作曲した、吹奏楽曲「デュオニソスの祭」です。
 
 フランスにおける吹奏楽とは、日本やアメリカのそれとは少々ことなり、独特の編成を組んでいます。ヨーロッパではもともとブラス・バンドとはイギリス式のぜんぶ金管楽器のみで演奏される形態のもので、ブラスとは真鍮で、日本語訳では「金管バンド」などともいわれています。
 
 フランスのそれには、金管楽器にサックス類、そしてサクソルン類という楽器が加わっています。サクソルン類とは、コルネットやユーフォニウムに代表される、音色の柔らかい金管楽器です。コルネットは、見た目はトランペットそっくりですが、ちがう楽器なのです。

 日本で演奏されるデュオニソスの祭は、また日本式の吹奏楽編成に編曲されたもののようです。
 
 冒頭は瞑想的ですが、饗宴の始まりを暗示しているようにも聞こえます。種々の楽器が独奏的な扱いをうけ、やがて激しい主部がはじまります。ここの様子はリズム的で、陽気というよりは神秘的な饗宴です。大編成ゆえの豊かで厚い響きと、それが揺れるように動くリズムが魅力です。
 
 次回で終わります。


  ☆ ∽§∽ ☆


 DATA

作曲者 フローラン・シュミット(1870−1958)
曲名  デュオニソスの祭
マイナー度★★★
難易度★★★★
ファンタジー度★★★★
聴かなきゃ損度★★★
 
 まこと音楽とは、何ものにも勝る魔法です!


ファンタジーなクラシック59

 ファンクラ59も、バッカナールです。みなさま、呑み過ぎには注意しましょう。酒は呑んでものまれるな。秋の夜長に、ついつい月を観ながら杯をかたむけてしまいます。


 「寄港地〜3つの交響的絵画」で有名なフランスの作曲家イベールが、1956年にイギリスBBC放送の依頼で作曲したのが、この単独した管弦楽曲「バッカナール」です。古代ギリシャ神話の酒の神バッカスを奉る祭典バッカナールは、今回のファンクラでも特集しているようによく音楽の発想に使われていますが、そのどれもがみな激しいリズムと爆発するような旋律で、大騒ぎのイメージがあります。
 
 このイベールのバッカナールもその例にもれず、とにかくどんちゃん騒ぎの8分間です。それが大管弦楽で行なわれる豪快さを、楽しんでいただきたいですね。

 ご宴会、披露宴の入退場にもどうぞ。


  ☆ ∽§∽ ☆


 DATA

作曲者 ジャック・イベール(1890−1962)
曲名  バッカナール
マイナー度★★★★★
難易度★★
ファンタジー度★★★
聴かなきゃ損度★★★★
 
 まこと音楽とは、何ものにも勝る魔法です!


ファンタジーなクラシック58

 ファンクラ58、続けてバッカス神はバッカナールついてのクラシックです。
 
 以前、サン=サーンスの「動物の謝肉祭」をお伝えしたところですが、サン=サンースの歌劇「サムソンとデリラ」に「バッカナール」という管弦楽るよるバレー音楽があります。 
 
 サムソンとデリラは旧約聖書に基づくお話しです。ヘブライ人の英雄サムソンは、ペリシテ人の奴隷であった仲間を解放します。しかし復讐に燃える妖艶な美女デリラにたぶらかされ、おのれの弱点を聞き出され、怪力を失い、捕らえられます。両目をえぐられ、死ぬまで粉引きの刑に処せられます。勝利にわくペリシテ人たちの神殿で、バッカナールが踊られます。そのとき、サムソンが現れます。人々はサムソンをあざ笑いますが、サムソンは神へ祈り、昔の怪力を一瞬だけえます。柱を折られた神殿は跡形もなく崩れ、サムソンもろとも、ペリシテ人たちを押しつぶすのです。

 なんとも中近東ふうなオーボエのもの悲しい旋律ののち、軽快な音楽に移ります。カスタネットやティンパニが拍子をとって、陽気に音楽が進行します。最後は激しいティンパニのソロに導かれてホルンが朗々と旋律を吹き鳴らし、ものすごいテンポになって、一気におわります。宴会の音楽にピッタリです。


 アメジストの異説。

 少女アメジストに恋したバッカス神は、嫉妬に狂った妻にアメジストを石に変えられてしまいます。嘆き悲しむバッカス神が、ワインを注いだ所、石の少女は、アメジストに変わったといいます。そののちバッカス神は、アメジストを肌身離さず側に置いたと言うことから、アメジストは、恋人達の守り石とされています。
 

    ☆ ∽§∽ ☆


 DATA

作曲者 カミーユ・サン=サーン(1835−1921)
曲名  歌劇「サムソンとデリラ」より「バッカナール」
マイナー度★★★
難易度★
ファンタジー度★★★★★
聴かなきゃ損度★★★★
 
 まこと音楽とは、何ものにも勝る魔法です!


ファンタジーなクラシック57

 ファンクラ57、お酒の神様に関するクラシック、いきたいと思います。

 西洋においてお酒の神さまはバッカスといいます。バッカス神は宴会の神でもあり、ギリシャ神話におけるゼウスの息子で、その宴会のことをバッカナールといいます。バッカスはまたローマ神話ではデュオニソス神になります。
 
 音楽の前にコラム
 
 宝石のアメジストはご存じでしょうか?

 バッカスはいつも悪酔いして騒いでいたので神々に怒られていました。

 ムシャクシャしたバッカスはこう宣言します。

 「いまから会う最初の者を、家来のバッケー(豹の姿をしたいつも悪酔いして暴れている獣だそうです。)に喰わせてくれる!」

 そこへ通り掛かったのが、ダイアナ神へ使えるニンフのアメジスト。

 バッカスは獰猛なバッケーをさっそく仕向けました。アメジストはダイアナ神の名を叫び、自らを透明な美しい石に変えました。その石があまりに美しく、バッカス神は自らの行いを恥じて、こういいました。

 「私のブドウの実りは、未来永劫アメジストへの懺悔となる」

 そしてぶどう酒を透明な石へかけると、石はみるみる紫色に染まり、その後、石の名は信心深いニンフの名をとってアメジストと呼ばれるようになりました。そうです。

 アメジストには、したがって悪酔いする心を自制するパワーがあるそうです。(異説もあります。次回。)
 
 バッカス神もしくはデュオニソス神に関するクラシック音楽は、とてもたくさんあります。知ってるかぎり片っ端からとりあげていきたいと思います。
 
 第1弾は、ドリーブ作曲・バレー音楽「シルヴィア」からバッカスの行列と参りましょう。

 ドリーブはフランス・バレー音楽の父と呼ばれ、かのチャイコフスキーをして「わたしの白鳥の湖ではシルヴィアの傍にもよれないよ」と嘆かせました。

 バッカスの行列は、第3幕のはじめに奏されるもので、村人たちが酒の神バッカスを賛美する華やかな音楽です。トランペットが陽気なファンファーレを奏でると、それへ導かれてオーケストラが燦然と音楽を進めます。優雅なトリオもある、素晴らしい行進曲です。結婚式にもどうぞ。


  ☆ ∽§∽ ☆


 DATA

作曲者 レオ・ドリーブ(1838−1891)
曲名  バレー「シルヴィア」より「バッカスの行列」
マイナー度★★★
難易度★
ファンタジー度★★★★★
聴かなきゃ損度★★★★★

 まこと音楽とは、何ものにも勝る魔法です!


ファンタジーなクラシック56

 こんばんは。9月も中をすぎて、北の大地はにわかに風が冷たくなってきています。あとは秋まっしぐらです。
 
 ファンクラ56、今回は秋の夜長にホラーなクラシックはいかがでしょう。ちょうど呪恐2もやっているようだし。私の街ではやってませんが(笑)

 フランクの作曲した交響詩「呪われた狩人」です。

 日曜の安息日に、狩りをしてしまった狩人が天罰を受け、呪われてしまうといったバラードを音楽化したものです。

 日曜の朝〜狩り〜呪い〜鬼神の追跡 

 と音楽は進みます。ぜんぶで15分ほどの音楽です。

 狩りを現すファンファーレではじまり、日曜の朝の主題になります。ゆったりした清々しい重厚な音楽に続いて、いかにも狩りへ出かけるといったエネルギッシュで速い部分に変わり、激しくティンパニが鳴ります。しかしその勇ましい行進も、荘厳でおどろおどろしい旋律によって遮られます。罪を犯したものへの祟りの場面です。最後は、激しい恐怖の追跡が始まって、緊張感あふれる描写が続きます。そして、トドメの一撃で幕を閉じるのです。
 

     ☆ ∽§∽ ☆


 DATA

作曲者 セザール・フランク(1822−1890)
曲名  交響詩「呪われた狩人」
マイナー度★★★★
難易度★★
ファンタジー度★★★★
聴かなきゃ損度★★★

 まこと音楽とは、何ものにも勝る魔法です!


ファンタジーなクラシック55

 ここ数日、北の大地は天気がよく、夜は例の「赤いモビルスーツ」もとい「赤い星」がひときわ輝いて見えており、望遠鏡を持っていないので、せめてオペラグラスでのぞいておりました。今日は残念ながら雲が出ているようです。
 
 さて、以前、ファンクラ12(2001/11/18)におきまして、組曲「惑星」としてお伝えいたしましたが、今回の55は特別企画としまして、組曲「惑星」より抜粋して「火星」をお届けしたいと思います。

 火星は占星術において戦争の神を現し、人間に情熱と活力を与えるとされます。5/4拍子の変拍子が徹底して不安と焦燥を現し、3種類のテーマが重々しく鳴り響きます。1時間の大組曲の冒頭からこのような不安に彩られた曲調で、当時のお客さんはとてもショックだったとのこと。一説によると、第一次世界大戦が迫りくる不安を現していたとも云われます。
 
 火星は公転周期が楕円を描いており、地球から見るとずいぶん不規則に天を駆け回っています。それが、血の色を連想させる赤と結びつき、古代の人々には気まぐれな星、不吉な星、災いをもたらす星とされ、それが戦争の神とむすびついたのではないでしょうか。


                ∽§∽

 
DATA  

作曲者:グスターヴ・ホルスト(1874−1934)
曲名:組曲「惑星」より「火星」
マイナー度:★
難易度:★ 
ファンタジー度:★★★★
聴かなきゃ損度:★★★★


 まこと音楽とは、何物にも勝る魔法です!


ファンタジーなクラシック54

 昨日より、あんなに寒かった北の大地もにわかに暑くなってきました。こんな夏の夜長には怪談ということではありませんが、ファンタジーなクラシック54は、ワーグナーの歌劇「さまよえるオランダ人」序曲です。
 
 呪われたオランダ人の船長は、死ぬこともできず、永遠に嵐の海をさまよう定めにあります。7年に一度だけ上陸を許されますが、それは、彼を愛して身を犠牲にする少女を探すためです。その少女の犠牲をもって、初めてオランダ人の船長は魂の救済を得るのです。

 序曲ですので、劇中の有名な合唱や独唱の旋律がメドレーのように現れます。まずはじめに、オランダ人船長のテーマが、弦楽とティンパニが表現する嵐の風や波のうねりの中、ホルンとトロンボーンによって荒々しく登場します。それがおさまると、少女ゼルタの旋律がイングリッシュ・ホルンで美しく現れます。次がまた嵐の場面で、水夫の合唱の旋律が鳴り響きます。その後はそれまでの旋律が変化したり表情を変えたりして、見事に管弦楽化され、最後はラストの救済を暗示する音楽で締まります。

 怪物ワーグナーがまだ若いとき(28歳)の作品ですが、すでに様々な実験的な作曲手法が試されていて、序曲だけでも稀代の名曲でしょう。

 ちなみに作曲当時は、進歩的すぎて不評だったとのことです。


     ☆ ∽§∽ ☆


 DATA

作曲者 リヒャルト・ヴァーグナー(1813−1886)
曲名  歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
マイナー度★★
難易度★
ファンタジー度★★★★
聴かなきゃ損度★★★★★

 まこと音楽とは、何ものにも勝る魔法です!


ファンタジーなクラシック53

 ファンクラ53、今回は、ヘブリディーズ諸島にまつわる音楽をお届けします。以前に、フィンガルの洞窟をお届けしたかもしれませんが、今回は諸島全体の雰囲気を味わっていただきます。
 
 イギリス人の作曲家で、バントック卿という方がいます。その方が、霧むせび、奇岩絶景の妙なるヘブリディーズ諸島を描いたその名もヘブリディーズ交響曲という音楽を造っています。

 実際に行った事はもちろんのこと、テレビ映像とかでも観た事はありませんが、この前、高校用の標準地図帳を新しく購入したので、位置を確かめてみます。イギリスの最北も最北、そして、意外と大きな島です。北方4島みたいなものなのでしょうか。

 そしてここは、ヘブリディーズ・ブラック種ドラゴンの棲息地として特に知られています。

 音楽はそのような神秘と絶景と厳しい自然を現すもので、霧の中で佇むように、まったく地味です。風と波の交響曲といってもいいでしょう。それも北の。ハープの音色はさざ波を現し、ティンパニの轟音は岩へ打ちつける波濤、弦のゆらめきは絶える事のない風の音でしょう。

 その中で、島へ伝わる伝統音楽の旋律も聴こえてきます。この、明らかにイングランドと異なる、北方の響き。日本で云うのなら、アイヌ音楽にもたとえられるのでしょうか。
 
 音楽は4楽章制ですが、途切れる異なる演奏されます。ぜんぶで約30分の情景音楽です。
 
 さいきん、我が北の大地の一部でも連日連夜、霧、雨、曇、気温は15℃16℃、家ではストーブと、まるでこの諸島のようです。
 
 霧と風にまじってドラゴンの声が聞こえないか、特に注意してみます。(日本北の大地種?)
        
  
   ☆ ∽§∽ ☆


 DATA

作曲者 グランヴィール・バントック(1868−1946)
曲名  ヘブリディーズ交響曲
マイナー度★★★★★
難易度★★★
ファンタジー度★★★★
聴かなきゃ損度★★★

 まこと音楽とは、何ものにも勝る魔法です!


ファンタジーなクラシック52

 みなさまこんばんは、一月ぶりのテンシュです。5巻の発売、楽しみですね。英語は読めないので翻訳版の発売を待ちつつ、トリーナさんの発売日のレポートを楽しみにしています。
 
 いまはそれでたぶん来年の「王の帰還」公開にあわせて、指輪物語を読み直しています。時間をとりつつようやく旅の仲間の下のラストまできました。15年ぶりぐらいに読んでますが、面白いというか、いやはや、まったくすごい作品です。

 デメイの交響曲1番「指輪物語」なども聴きながら読むと、効果も倍増です。
 
 本日はファンクラ52でして、アメリカの作曲家コープランドの手による、バレー音楽「ロデオ」組曲です。
 
 アメリカッていいますのは、クラシック音楽においては日本と同じくかなりの後進国で、演奏家や指揮者はヨーロッパからすばらしい人々が渡ってきていましたが(特に亡命ユダヤ人)作曲家では、地元出身の人はいまでもあまりメジャーではありません。バーンスタインが指揮者としても作曲家としても、もっとも高名かと思います。(ウエストサイドストーリーの作曲家)
 
 コープランドは知る人ぞ知る作曲家ですが、アメリカでは有名です。

 バレー音楽では他に「ビリー・ザ・キット」「アパラチアの春」などが、よくCDになっています。

 バレー音楽「ロデオ」組曲は4曲からなり、タイトル通り、西部劇のバレーです。
 
 1 カウボーイの休日 
 2 牧場の夜想曲 
 3 土曜日の晩のワルツ 
 4 ホー・ダウン(踊り)
 
 の4曲から成っています。
 
 管弦楽曲的にもっとも優れているのは1曲めのカウボーイの休日でしょう。

 それからなんとものどかで地平線が果てし無く続く様のようでいて、それでもロシアや中央アジアのどこか暗い物憂げなそれともちがう、静かでいながら陽気な雰囲気のアメリカチックな音楽が2種流れると、最後は本当にお祭り騒ぎのホー・ダウン。アメリカの田舎の様子が、この現代日本でも簡単に眼に浮かんできます。
 
 
   ☆ ∽§∽ ☆


 DATA

作曲者 アーロン・コープランド(1900−1990)
曲名  バレー音楽「ロデオ」〜4つのダンス・エピソード
マイナー度★★★★
難易度★
ファンタジー度★★★
聴かなきゃ損度★★★★

 まこと音楽とは、何ものにも勝る魔法です!


ファンタジーなクラシック51

 miyabi様とメアリー様におかれましては、50回記念投稿、ありがとうございました。

 このたび、メアリー様にもリクエストをいただきまして、時事ネタでもあるのでちょっと急いでご紹介したいと思います。

 
 前回ご紹介したリムスキー=コルサコフは、5人の作曲家仲間と共に、ロシアの伝統音楽と西洋クラシック音楽(主にドイツ・イタリアの音楽のこと)との合流を試みて、ロシア5人組と呼ばれておりました。リムスキー=コルサコフ、ボロディン、キュイ、バラキレフ、そしてムソルグスキーです。

 (同時期に活躍したチャイコフスキーは、5人組からは作風が西洋クラシックに近づきすぎていると言われており、独自な存在でした。)

 中で、ボロディンは本業が化学者で、ペテルブルク医科大学の教授でした。音楽は片手間でしたが、その作品はすばらしいです。しかし、元来寡作家であっただけでなく、本業の忙しさもあって、作品は多くありません。また、中には未完成のまま世を去ってしまったものもあります。
 
 歌劇「イーゴリ公」もそのひとつで、作曲に20年もかけましたが、けっきょく完成されませんでした。ボロディンの死後、仲間のリムスキー=コルサコフや、ペテルブルク音楽院の院長だったグラズノフが、補筆完成させました。
 
 歌劇の中で特に有名なのが、「だったん人の踊り」でしょう。
 
 ロシア(キエフ)の英雄イーゴリ公が、だったん人の指導者コンチャック・ハーンにつかまった際、公を歓待するさいに部下に踊らせたものであるということです。

 だったん人とは中央アジアのモンゴル系の騎馬民族で、ヨーロッパ人が呼んだタタール人とかタルタル人という名前の音訳です。漢字で書くとメアリーさんが書いたように「韃靼」になります。
 
 コンサートで、よく独立して取り上げられます。また、個人的には、「だったん人の娘の踊り」という短い曲の後に、「だったん人の踊り」が来ると、曲の流れからいっても最高です。

 音楽は民族的な迫力のある旋律が入れ代わり立ち代わり現れて、いろいろな部分に別れており、組曲のようです。元々踊りの音楽であるためリズムに富み、バレーにもなっているはずです。演奏効果が特にすばらしく、音階がアジア風なので日本人にはなじみやすいと思います。

 ところで、いま、ふつうの蕎麦の何倍も栄養のある「だったん蕎麦」がよくテレビとかで取り上げられますが、このだったん蕎麦の「だったん」は「だったん人」の「だったん」と同じです。ふつうのソバとは品種がちがうようです。中世にだったん人がヨーロッパに持ち込んだので、そう呼ばれています。だったんソバ茶とか、でてきています。ルチンというソバ独特の栄養が、特に多いのだそうです。

 私はソバアレルギーなので、縁のない話です。(アレルゲン検査で特にソバは出ていないのですが、子どものときたべて何度も吐いた記憶があって、以来どうにもソバはダメです。)

 
 もうひとつ、この有名なだったん人の踊りの旋律ですが、よくCMで流れます。いまはちょうど、チーズ星人が「ヨーロッパ風チーズカレー」のヌードルのシーエムで、「♪ちーちーちー〜〜」と歌っている、アレです。
 
 もっとも私に言わせたらだったん人の踊りは中央アジア風なので、どこがヨーロッパ風なのか、苦笑するばかりです。

 チャイコフスキーやロシア国民楽派5人組の活躍のおかげで、それまでクラシックの後進国だったロシアに、「ロシア音楽」というすばらしい財産が生まれました。その財産を、作曲の面ではショスタコーヴィッチやプロコフィーエフや、ストラヴィーンスキーが、引き継いだのです。その他、神様のような演奏家や、すばらしいロシアンバレーの伝統も、このころから生まれてきます。
 

  ☆ ∽§∽ ☆


 DATA

作曲者 アレクサンドル・ボローディン(1833−1887)
曲名  歌劇「イーゴリ公」よりダッタン人の踊り
マイナー度★
難易度★
ファンタジー度★★★★★
聴かなきゃ損度★★★★★

 まこと音楽とは、何ものにも勝る魔法です!







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