第13回 「最近の状況について」


 聴き手 九鬼 蛍(以下「九」という。) 
 語り手 堀井友徳(以下「堀」という。)

 日時 2013年1月24日午後3時ころ 
 場所 北海道某所


 最近の状況について


 九「今回の対談インタビューでは、ここ半年ほどの出来事を細かく振り返ってみたいと思います。ざっと並べますと、奏楽堂の響き4のCDの発売、トロッタの会においての北方譚詩第3番の初演、そして北方譚詩全三部作を振り返って、その他のトロッタの会の話題、東北大学吹奏楽部における『組曲 用心棒』の話、堀井さんの旧作の再演、札幌交響楽団コンサートマスター大平まゆみさんの委嘱によるクイーンの絃楽合奏アレンジなどを」

 堀「分かりました」


奏楽堂の響き4

 九「では、奏楽堂の響き4について。『札幌オリンピック組曲』の編曲の経緯等は前回の対談でやりましたので、今回は演奏会の模様を振り返ってということにしましょう」

 堀「その前に『NNN ニューステーマ』と『栄光への5000キロ』の話はしてませんでしたね。こちらを先にやりましょう。『NNN ニュースのテーマ』は(企画の)西耕一君からやってみないかという話がきましたが、『栄光への5000キロ』は私のリクエストなんですよ。何か黛敏郎さんの曲で堀井さんのやってみたい曲はありますかというから、ぜひ『栄光への5000キロ』をやってみたいと。楽譜もあるから、じゃやってみようか、となりました。両方とも吹奏楽向きというのが、すぐ聴いて分かりました。今回の奏楽堂4は短い曲が多いです。1分とかね。前回の3がタイムオーバーで演奏できなかった曲があったので、短い曲をチョイスし、前回に演奏できなかった『天地創造』と『アメノウズメの踊り』を最初と最後に持ってきました。今回はレアな曲が多いです。『栄光への5000キロ』もステージで演奏するのは初めてでしょう。『札幌オリンピック組曲』は12分くらいで、今回のプログラムの中では最も長いですね。しかし『東京オリンピック組曲』よりは短い。これは、元々札幌オリンピックの曲は短いものが多かったのです。それで5楽章制になりました。エンディング曲はやや長いですね。タイトルロールですから。これはちょうど去年の今頃編曲作業をやっていました。東京オリンピックの時は作業が3か月かかりましたが、今回は1か月ほどで終わりました。前回の経験が活きたのでしょう。札幌オリンピックのお陰か、お膝元の苫小牧民報と読売新聞から取材がきました(笑) けっこう大きな見出しの扱いでした。ただ札幌オリンピックは残念ながら映画が東京オリンピックに比べるとマイナーですし、『虹と雪のバラード』というテーマソングはとても高名ですが映画音楽はほとんど知られていません。そこがちょっと残念ですね」

 九「当日は、聴きにいかれたのでしょう?」

 堀「行きました。前日のリハーサルから。奏楽堂は平成25年の4月からしばらく改修・修繕に入るらしく、使えなくなるとのことで、この「奏楽堂の響き」も今後どうするか企画者が考えるでしょう。今回は最終リハーサルが奏楽堂をとることができなくて、離れた別場所の小学校のホールで行い、本番だけ奏楽堂だったので録音が一発録りになってしまいました。しかも当日が大雷雨で、移動も大変でしたが、奏楽堂はとても古いホールですので雨音がモロに入ってしまい、演奏も録音もどうなってしまうか、やきもきしていましたが、本番が始まる直前に雨があがって関係者一道ホッとしましたよ。酷い雨だと客足にも響きましすね。奏楽堂はあまり大きなホールではないですが、余韻が短く、音が近くて生々しい音がします。この演奏会の二日前に千葉で私の『木管五重奏のためのディヴェルティメント』の初演がありました。そのときは天気は良かったんですけど。でも、地震がありました(笑) ちょっと色々と不安でしたが、無事に終わって良かったです。それと宣伝ですが、今年になってようやく当日ライブのCDができあがりましたので、ぜひぜひお聴き下さい!(笑)」


トロッタの会16

 九「では、次に12月9日に行われたトロッタの会16を。今回は『北方譚詩第3番』の初演で、これで北方譚詩シリーズ三部作がそろい、シリーズ完成ということですね」

 北方譚詩第3番 YouTube で試聴できます。

 堀「『北方譚詩第3番』の初演ではなんといっても、私が自分で指揮をしたというのが自分にとって最大のトピックです(笑)」

 九「それはまた、どういうわけで?(笑)」

 堀「6人でやるというのは最初から決まっていました。みなさん、ソリストですし、最初は指揮はいらないだろうと思っていましたが、練習している内にやはりお互いのアイコンタクトだけでは心もとないとなったようで、本番に作曲家に指揮をしてもらえないかとメンバーが言っていると、トロッタの会から連絡を受けたのですが、それまでお互いのタイミングで練習してきたものを本番にいきなり私の指揮でやるのは逆にむしろ難しいのではないかと判断して、最初は断ったんですよ。しかし、慰留され、それでは本番前の練習のときに試してみて、そのときにやるかやらないか決めようとなりました。本番の二日前に練習がありましたが、そのとき初めて6人全員がそろいました。それまではパート練習が主だった。それまでの1番と2番は4人でしたが、6人は初めてで、おまけに無伴奏だし、それで不安があったということです」

 九「混声4部で6人というのは?」

 堀「ソプラノ2、アルト2、テノール、バスです。女性1人だと、テノールやバスと比較すると弱いのです。それで、やはり指揮があった方が良いと言われて、やることになりました。指揮自体は音大でいちおう習いましたから、できなくはありませんが、ステージでやるのは初めてでしたし、ましてや自作自演も初めて。合唱指揮も専門ではありませんから。発声に関しては相手はプロですから、全ておまかせして、アンサンブルや表現を少し指示しました。惜しむらくは普通の指揮をしてしまった。合唱の指揮って、右手もけっこう使って指示を与えて行くんです。それで、終楽章『春』のテンポがすごく速くなってしまって(笑) 6/8 拍子に聴こえてしまいましたが、本当は6/4 拍子なんですよ。ちょっと解説をしますと、これを1小節6つ分割振りではなく2つ振りでやると、ゆっくり振るのが難しくて、つい早くなってしまうのです(笑) リハーサルのときはゆっくりできていたんだけどなあ」

 九「緊張していたんでしょう(笑) 作風は、私は1番と2番と比べて最もスタンダードなものに感じましたが」

 堀「3番は、無調というほどではありませんが、無伴奏ですし、1番と2番よりもっと冒険して現代ものっぽくしようと思っていましたが、けっきょくこうなりました(笑) やはりあまり難しくすると音合わせにも時間がかかりますし、今回は練習する時間もあまりとれませんでしたから、通常通りの旋律のあるものにしました。第3楽章の『冬』が、前衛ほどではありませんが、スキャットや変拍子を入れてみて、ちょっとそれっぽい作りになっていまして、評判が良かったです。結果として、合唱3部作は全てオーソドックスなものに『なっちゃいました』ね。3番は変えようと思ったのですが、中でも一番オーソドックスになりました」

 九「一番すっきりしていますでしょうか」

 堀「すっきりしていますでしょう。振り返ると、2番がもっともシリアスなものになっちゃいましたかね。当初は3番まで続ける予定ではありませんでした。1番は、今になって1番となってますけど、本当は番号がついていませんでした。合唱がやりたいなとは思っていたので、良い機会だからやりましたが、これで終わる予定だった。しかし評判が良かったので、トロッタの木部(与巴仁)さんから続けてみませんかと誘われて。1番が女声3部だったので、2番は混声4部に。2番も作ったのだから、じゃあ3番までで3部作にしようと思いました。最後はピアノをとって無伴奏に。でも、4番5番となるとキリが無くなりますので、北方譚詩シリーズはこれで終わりです。次にやるとしたら、違う形になるでしょう。やってみて、合唱はやはり難しかったです。言葉もありますし。本来なら合唱団が時間をかけて音をすり合わせて行くものを短時間でやりますしね。合唱団ではなく、ソリストの集まりだから、できたのでしょう。合唱でもぜひやってほしいです。トロッタではこれまで自分がやったことの無いものをやるというシリーズでして、いわば実験作ですね。前の木管五重奏も、トロッタで木管四重奏の経験があったからできたようなものです。あれは良かったですね。経験があるのと無いのとでは心理的に違います。トロッタといえば、真貝先生ソロの、今井先生のカスタネット協奏曲は、YouTube で見ましたか?」

 九「見ました。2台のピアノ伴奏版の東京初演ですね。初演は釧路です」

 堀「凄い評判良かったですよ。アンコールも出ました。拍手喝采で。真貝先生のカスタネットは一回聴けば、誰もが驚きますからね(笑) 真貝先生も喜んでいましたし、今井先生も、体調がちょっと良くなかったんですけど来られていました。会場が響くところだったのでカスタネットが響きすぎないかなと心配しておられたようなんですけど、お客さんが入ったらまた響きも変わりますし、とても良かったですね」

 九「あのカスタネットは、後継者をぜひ育ててほしい(笑) 今井先生のカスタネット協奏曲を埋もれさせたくないですね」

 堀「技術的にも独特ですよね。ただのカスタネットではありません(笑) 普通のオーケストラのカスタネットは、柄とかついていて、全然違いますね。フラメンコカスタネットだとしても、真貝先生独自の技もありますし。ギターも、フラメンコギターは普通のギターと奏法等が異なります。とにかく評判が良かった。あと珍しかったのはこの、今井先生の2曲『小さなロマンス第2番』と『モイル海鳴り』のテルミンですね。テルミンは面白かった。ミュージカル・ソウみたいな音が魅力でした」

 九「では次にトロッタの次回作の話題を少し」

 堀「次回作ですね。フルート三重奏(三人のフルート)です。これまで書いたことの無い感じで、かなり苦労しました。今、鋭意制作中です。フルートのアンサンブルは前から書きたかったのです。ですので自らのリクエストで単一楽章10分ほどで、構成が難しかったです。これまでは単一楽章だと緩急で2部構成が多かったですが、今回は自由に、幻想曲のような感じで、細かく別れて次々主題が変化しています。7部くらいに分けました。聴いてのお楽しみに(笑)」

 九「そもそも、トロッタの会に参加するきっかけはなんだったのですか?」

 堀「これは、西(耕一)君からの紹介だったかな。トロッタの会は元々木部(与巴仁)さんの自作の詩の朗読中心の会だったのです。朗読の伴奏という形態の作品が多いでしょう。でも、自分は合唱がやりたくて、合唱でも良いですかと木部さんに打診してOKをもらいましたので、やるようになりました。結果的に合唱は評判が良く、成功しました。『北方譚詩』のすぐ後が同2番で、その次が『蝶の記憶』です。これは本来の、朗読と音楽です。最初は抵抗があったんですが、なんだかBGMみたいで面白そうだったので(笑) 北方譚詩というのは私がつけました。木部さんの独立したいくつかの詩を集めてというか、テーマが似ているものを組み立てまして、北方譚詩としてまとめました。別に木部さんが北方譚詩というシリーズの詩を作っているわけではありません。3番も四季を書いていますが、最初から四季として書かれた一連の詩ではなく、それぞれ四季を描いた詩を4つ集めて『四季物』として構成したものです。これは伊福部先生の『釧路湿原』と同じで、夏から初めて春で終わっています。3曲とも旋律のある順当な作風ですが、個人的には2番が最もシリアスでしょうか。やはり、最初はしっかりとオーソドックスなものを書いてから、次は少しは前衛的なものをいよいよ書いてみたいです。次に書く機会がありましたら、もうちょっと冒険してみたいと思っています」

 九「3つそろっているのは良いですよね。紹介もしやすいですし。全部YouTube にあるのも魅力です」

 堀「自分としてはそれぞれ作風を変えたつもりでした。1番は女声3部でやや再演しづらいかなと思いまして、混声4部に改訂しています。4声のほうが、音を組みやすいですよ。3声は難しいです。音が少ない方が難しい。無伴奏ソロとか。これらは本当に書けて良かったです。良い経験になりました」


組曲「用心棒」
 
 九「続きまして、東北大学学友会吹奏楽部において、昨年の『東京オリンピック組曲』に引き続き佐藤勝さんの映画・用心棒からのサントラ組曲を吹奏楽にアレンジしたものが初演されましたが、それについて」

 堀「経緯からお話ししますと、奏楽堂の3で『東京オリンピック組曲』をやった後、奏楽堂の4でやりたいということで、西(耕一)君からお話を頂きまして。ですから『札幌オリンピック組曲』の前です。これは映画のオリジナルサントラスコアがもう無く、佐藤勝さんが記憶を頼りにスコアを新たに書き直して、3管編成オーケストラの『用心棒』にしたものを、吹奏楽にしました。この組曲はスコアがありますので。ですから、構成とかは私はいっさいタッチしていません。佐藤さんのスコアのままです。2楽章形式で、メドレーのように次々にテーマが出てきます。しかし、吹奏楽アレンジも終わったころに、企画として『札幌オリンピック組曲』が上がってきまして、2012年は札幌オリンピック40周年ですし、そちらを優先して『用心棒』はつまりオクラになってしまいました。で、昨年、東北大学の方にこの話をしまして、『用心棒』のスコアが眠ったままなので良かったらどうですか、と私の方から企画提案しましたら、選曲会議を通ったのでぜひやりたいと言ってくださって」

 九「2年連続でとりあげてもらって、良かったですね」

 堀「そうですね。リハーサルの音源も送ってきてくれて。しかし、これは面白い現象だと思ったのですが、用心棒ってけっこう泥臭い、暗い映画なんですが、彼ら若い方たちが演奏すると、テンポも速く活き活きとして、活劇のような感じといいますか、ノリが良すぎて、とてもフレッシュだった(笑) これはもっとオヤジ臭く、泥臭く演奏してくださいと注文しました(笑) そうしたらけっこうそれっぽくなりました。演奏はすごく良かったですね。この昭和の白黒映画の音楽を平成生まれの皆さんがどういうふうに解釈するか、とても楽しみでしたし。映画のオリジナルサントラがちょっと変わった編成なので、原曲とのイメージは違うと思いますけれども、よい音楽ですよ。プログラミングも熱心ですし、ここは凄い大学です。さすがエリートの卵揃い(笑) そのうち、YouTube に演奏会の模様を上げてくださるでしょう」

 東北大学吹奏楽部の定期演奏会のポスターはこちら 


堀井さんの旧作の再演
 
 九「次は、Ensemble Aplus による、堀井さんの昔の作品の再演の話ですが、これはまた、いきなりきましたね(笑)」

 堀「これもまた、西(耕一)君の推薦なんですよ(笑) 彼にはお世話になりっぱなしで。メンバーの方に昔の録音を聴かせたら気に入ってくださったようです。実は私自身もメンバーにお会いしたことないのですよ。一度も面識のない作曲家の、しかも僕みたいなマイナーの作曲家のものをよくぞと(笑) 『ヴァイオリンとチェンバロのためのロマンツァ』『リコーダー、バスガンバ、チェンバロの為のトリプティーク』と、私の曲をしかも2曲もやって下さるようで驚いています。『トリプティーク』は古楽器のための曲なのですけど、モダン楽器でもそのまま演奏できます。今回はフルート、チェロ、チェンバロ版です。ロマンツァはけっこう、7、8回再演されていますが、トリプティークは珍しいです。モダン楽器でどんな響きになるか楽しみです。『ロマンツァ』が2000年、13年前ですので一周り昔です。『トリプティーク』が2003年の曲ですから、ちょうど10年前の曲です。今の曲が、すっかり別人のように変わってますから(笑) 当時の曲はかなり叙情的です。今と全然違う(笑) 思えば当時はそういうのを書きたかったんですね。それとそういう曲の発想しかなかったっていう」

 九「バスガンバとチェロに互換性はあるのですか? そのまま演奏できる?」

 堀「できます。音域がほぼいっしょですから。低音部に絃が2本、ガンバの方が多いです。この曲ではその低音部を使ってませんから、ほぼそのままチェロでできます。モダン楽器だと響きがシャープになるでしょうね。モダン楽器は平均律そのままでピッチをとっていますが、古楽器はバロックピッチという、ややピッチは低くて柔らかいというか、ぼんやりしています。ところで、トリプティークは、九鬼さんはお聴きになったことはありました?」

 九「前に、初演の録音を頂きましたよ」

 堀「今、自分で聴くと、ちょっと恥ずかしいですけどね(笑) ただ、自分が聴いて恥ずかしいのと他の人が聴いて恥ずかしいのは少し違います。当時はこういうBGM?みたいな作風を求められましたし。あまりこういう叙情的なものばかりが認められても、少し困ります。作風も変わってくるし、こういう曲ばかりを求められてもね。本当にサントラの仕事とかアレンジなら割り切って別ですが、ステージの音楽ではちょっと……」

 九「しかし、そういうのをじっさいに書いてきて、今があるのですから、特に問題にする事も無いでしょう。今と昔は違うと説明するほかは無い」

 堀「今の若い音大生などは、こういう90年代からの叙情的なものからまた60年代の現代音楽に抵抗がなくなってきているようです。私が作曲をやり始めたころは、叙情性が見直された時代でしたので、こういう叙情的なものが求められたんだと解釈しています。それも理由がすごくて、他の作曲家があまりそういうの書かないからだそうで(笑) ところが今は現代的なものでもあまり拒否されなくなりましたよ。それは若い人の価値観が変わったんですね。いまは現代作曲家や演奏家もたくさん人がおりますが、最終的にはやはり個性が無いと、続かないでしょう。よほど自分がしっかりしていないと。継続するのは大変ですね。自分も頑張りたいと思いますが、伊福部先生が言うには、いくら数が増えようとも『根の無い人は枯れるから。あまり気にする事ないですよ』と」


Queen メドレー編曲

 九「えーと、では続きまして、大平まゆみさん(札幌交響楽団コンサートマスター)の委嘱による、ロックメドレー編曲を……」

 堀「これは珍しい、面白い仕事でした。大平さんはMAYUMIコンサートシリーズとして、もう5年も色々企画しておられて、その一環です。MAYUMIコンサート Vol.16 です。第2部のメインとしてやっていただきました。『Bohemian Rhapsody 』『We will rock you』などの高名曲を8曲、15分ノンストップで。『We will rock you』では、演奏者たちも足踏みしてリズムをとって、観客にも手拍子を求めて。大平さんのソロヴァイオリン、絃楽はヴァイオリンが4、ビオラ2、チェロ2、コントラバス1にソロトランペットとピアノです。大平さんはクイーンがとてもお好きとのことです。吹奏楽アレンジはありますが、絃楽器でクイーンは初めてじゃないですかね(笑) むしろ、ドラムとか入るより良かった。ドラムをいれるとモロになりますから。とても盛り上がりました。キタラの小ホールが満席でしたよ。ちょうど去年、真貝先生の紹介で大平さんに『コンサート・アレグロ』をやってもらって、それのご縁ですね。ですから、大平さんの第一印象は、自分にとって異色だと思っている『コンサート・アレグロ』なんですよね(笑) それが良い場合とまずい場合がある。例えばいま新作を依頼されても、『コンサート・アレグロ』とは全然違うものができてしまうから」

 九「それは、でも、もう、仕方ない、どうしようもないでしょう(笑) 予め違う感じになりますと言うしかない」

 堀「まあ、そうなんですけど(笑) しかし、これはやって良かったです。ちゃんとクイーンの版権を持っている会社から許可をもらってやりました。私はあまりクイーンは詳しくなかったのですが、聴けば知っている曲が多かったです。やり易かったといえばやり易かったですけど、技術的にはけっこう難しかったですよ。絃で表現するのが。大平さんは、ずっとクイーンをやってみたかったのだそうです。再演も期待しています。絃楽を書いたのも久々でしたが、ずっと声楽と管楽器の仕事が続いたので、今年は絃楽のオリジナルもぜひ書きたいと思っています」



 以上





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