ハンソン(1896−1981)


 アメリカの交響曲といやあ、アイヴズという偉大なる先例があるにもかかわらず、かつ、ケージとかいうワケワカラン音楽の旗手がいたにもかかわらず、伝統的な調整音楽によるものが圧倒的に多い。中にはコーツみたいな、いまだにギゴギゴした音楽を書いている人もいるのだが、特徴的なのは、前衛が全盛期だった時代に、頑固なまでに調整音楽が作られていたふしがあって面白い。それはやはり、ハリウッドとブロードウェイの影響なのだろうか。

 ハワード・ハンソンは7番までシンフォニーがあるようだが、CDは輸入盤しかない。

 以前、たまたま1と2のカップリングを入手したのだが、いまいち印象には残らない作家だった。2番はそのテーマが映画エイリアンのラストで流れたということなのだが、まったく記憶にない。


第2交響曲「ロマンティック」(1930)
 
 この音楽を聴いて、どこの国の人でしょう、と云われて、アメリカの人だ、と答えられる人は、超能力を持っている。もしくはよほどのアメ楽ファンだろう。
 
 たしかにアメリカは広い。しかし同じ広くてもロシアの作家がロシアの特色を根強くもっているのに対し、アメリカはいろいろな人種・文化が入り交じっているのだから、多様性主義が本来の姿のように思えるがこのテッテーした保守ぶりは恐れ入る。
 
 アメリカの頑固なまでの保守派の姿が垣間見えて、それはそれで興味深い。

 作品名からしてロマン派の栄光よ再びって感じだからなあ。
 
 そういうのって、特色を愛する人にとって、なんの価値もない音楽を聴かされることになりがちで、けっこう危険。そういう聴き手もまたかなりの保守派なはずで、保守と保守とがいがみ合っているにすぎない。

 機会があったら聴いてみてください。意外に、新たな分野が開拓できるかも。

 そうなると、アメリカの大地が目の前に広がって、入植したてのスピリッツ精神にも似た開拓者魂を彷彿とさせるでしょう。アメリカ産交響曲という広大なる大地にて。ゴールドラッシュが待っているかもしれません。
 
 なお、いれこんであてがはずれ、スッテンテンになっても当方はいっさい責任をとりかねまする。
 



前のページ

表紙へ