演奏会報告4
実演での伊福部23
第666回 札幌交響楽団定期演奏会 2025年1月25日(土)、26日(日)
札幌コンサートホールkitara
指揮:広上淳一
ピアノ:外山啓介
武満徹:「乱」組曲
伊福部昭:リトミカ・オスティナータ−ピアノとオーケストラのための
シベリウス:交響曲第2番
札響16年ぶりのリトミカ!
今回の演奏会パンフで知ったのだが、札響はリトミカをこれまで2回演奏しており、これが3回目なのだそうだが、私は幸いにしてそのすべてを聴いていたのであった。
1回目 作曲家伊福部昭氏を讃える「ゆかりの地レクチャーコンサート」(音更町) 2005年11月23日 演奏会報告1 実演での伊福部3参照
2回目 第515回札響定期 2019年1月23日(金)、24(土) 演奏会報告2 実演での伊福部16参照
まさか、音更の演奏がリトミカの札響初演とは思わなかった。
さて、私は土曜の演奏を聴いたのだが、まだちょっとソリストがホールの響きを完全に把握しておらず、指揮やオケとタイミングがずれている部分があった。これは、札響はリハーサルを別会場(芸術の森)で行い、本番のキタラホールはゲネプロと本番だけしか使わないので、どうしてもそうなりやすい。またキタラホールは残響が1.5秒ほどもあるそうで、特にステージの上は指揮と実際に聴こえる音とかなりズレるのである。
両日聴いた友人たちによると、日曜はそこを修正してきて、かなり完成度が高かったようだ。
指揮の広上は、30年前、35歳にしてキングレコードでの伊福部昭シリーズの指揮を任された。伊福部演奏には、一家言あると思う。東京音大の指揮科時代は学長が伊福部昭で、学長室に遊びに行って、学長手ずから淹れたお茶を御馳走になったとのこと。
ピアノの外山は札幌市出身、名寄や旭川で育った生粋の道産子。期待は高まる。なお、楽譜はアイパッドを使っていた。時代である。
武満やシベリウスによく似合う札響独特の透明な音色は、泥臭い伊福部を好む聴衆にはちょっと物足りないかもしれないが、この日の演奏は曲が進むにつれて凄味が出てきて、後半などは凄まじい迫力で一気に押し通した。緩徐部のピアノの歌いこみも充分で、オケも透徹な響きがよく表現できていたと思う。打楽器も盛り上がって叩かれ、ピアノが全然聴こえない部分もあったのはご愛敬だ。
2025/02/01執筆現在、同じメンバーで同曲の、キングレコードの伊福部シリーズの発売も久しぶりに決まり、気分が高揚している。2日めを聴いた友人が「リトミカの決定版ではないか」と言っていたので、期待したい。
資料22