佐藤 眞(1938− )
 
 
 わりと知名度の低い作家さんであったが、さいきんはよく活動の範囲を広げて、CDなんかも個展が出たので買ってみた。いわゆる12音的なものから最近の流行りである調性的なものまで、いろいろ手がけられる自力のある人のようである。

 作品目録をみても、管弦楽、室内楽、合唱、歌曲、オペラ、吹奏楽と幅広い。
 
 CDの解説を参考にするが、とにかく管弦楽においては音響という概念にこだわった作曲法のようで、たしかに、独特の響きをする。特に木管、パーカッションが面白い細かい微細な動きだ。

 交響曲は2003年現在で4番まであるようだが、1・2番は芸大の卒業作品で、79年作曲(00年改訂)の3番が実質の本格的作品となろう。録音もいまのところ3番のみらしいです。


第3交響曲(1979/2000)

 民音の委嘱作である今交響曲は、全体で20分ほどの軽作品ながら、4管編成で力感としてはなかなか聴きごたえがある。いわゆるソビエト流の諸曲、さらにはブリテンのシンプルシンフォニー系統の、オカルイものではない。12音技法によるものであるが、一慨に点描的なものでもない。重厚かつ、この宝石箱のような煌きは、大きな魅力だ。

 1楽章の冒頭は特に変わっている。甲高い1音からグリッサンドで一気に落ちてくる妙な響きに、聴衆の注目(耳?)は必至。パーカッションの音形は非常に興味深い。木管の無軌道なざわめきがコーダ。楽章全体の動きが面白い。

 2楽章においても、木管のざわめきは変わらず、それへチューバの奇妙なフレーズがからむあたりはとても面白い。ここら辺の特徴はいわゆる音楽というような旋律重視のものよりも、60〜70年代に流行った音そのものの動きを楽しむもので、オーケストラによって鳴らされる、およそ考えつくかぎりのいろんなパターンの音が、音響として、音群として、迫ってくるという趣向。

 3楽章はその趣が変わり、葬送音楽になっている。コントラバスのソロはマーラー流のシニカルなものではなく、もっと無感覚・無感動の、虚無的なもの。オーボエの奇妙な音色は、ヒュードロドロと聴こえるのは私だけか。もしくは蚊の羽音みたいで面白い。それからティンパニの轟音と共にオーケストラが爆発して、また蚊がとぶわけよ。
 
 4楽章は統括というか、再現というようなものだそうで、そのキラキラした音響合成にオーケストラの大騒ぎ(カオス)が割り込んできて、一瞬間カブキみたいにもなって、最後はバーンと盛り上がっておしまい。

 私のはライヴ盤なのですが、お客の 「な、なんだったんだ………」 というお義理拍手がまたいとをかし。
 
 これは純粋な交響曲とは云っているが、形式がどうの以前の、単に交響曲という形態で作曲された音楽、すなわち形態的交響曲というもの、もしくは音色を楽しむ音色交響曲で、まさしく作曲家が交響曲と名付けた音楽、というものです。
 
 ビクターやカメラータにCDがありますので、興味のある方は検索してみるといいでしょう。

 You Tube で試聴できます。





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