ボロディーン(1833−1887)
化け学者を本業に、セッセと作曲も行なったボロディーン。本業が忙しくって、あんまり曲は残ってない。オペラは未完だし、交響曲はいちおう3番(ただし3番は未完。1と3楽章のみで出版。その際の編集はグラズノーフ)まである。
高名なうえに中身も濃いのはやはり2番だろう。
第2交響曲(1877)
ボロディーンといえば初心者も喜ぶ「ダッタン人の踊り」であるが、キライではないがわたしは「中央アジアの草原にて」のほうが断然好きだ。ダッタン人の踊りも、「ダッタン人の娘の踊り」からやるとなお味がある。
そして2番は知る人ぞ知る鼻血ものシンフォニー。冒頭よりチェロの熱き名旋律。第1主題が低弦なんて、それだけで熱いではありませんか!!
正統ドイツロマン派の伝統を引き継ぎつつそこへ新しい息吹と血潮としてロシアやアジアの熱き魂を注入したこの人らの功績は非常に大きい。
こういった名旋律系の諸曲を、俗に「通俗名曲」などと云うヤカラがいて、ちょっと辟易するのだが、たとえばドヴォルザークの「新世界より」交響曲などもそうなのだが、旋律の影にしっかりとした構成がある。ただ旋律も素晴らしすぎるし、まして目立つので、そこばっかり聴いていると飽きが来易い。聴き方の問題なのではないか。
ボロディーンの2番も、もっと聴かれてもいい名旋律系の名交響曲です。
中低絃が序奏もなしにいきなり奏でる第1主題。それへ金管が答え、しばしその旋律が景気よく反復する。木管の導きよる弦の第2主題は一転、ロシアの女の子のような愛らしさ。7分ほどの第1楽章は呈示部に3分をかけ、展開部も短く、かつ中身も薄く、再現部が重視され非常に古典的である。コーダは燃える。ロシア音楽は概して、ソナタ形式ではコーダに燃えるものが多い(笑)
2楽章はスケルツォだが、民族舞曲調。やはりドヴォルザークの雰囲気に近い。伝統的な3部形式。
3楽章はアンダンテ。8分ほどあり、中では最も規模が大きい。ハープに導かれたホルンが牧歌的かつやや土俗的な旋律を奏でるあたりはチャイコーフスキィと作り方が似ている。それを木管が受け取り、しばし歌う。その中にも、どこか曇り空というか、寒々しい空気が漂っているのが、ロシア音楽の流儀。後半には弦が主体となり、盛り上がるが、最後に冒頭へ回帰する。
4楽章フィナーレは3楽章よりアタッカぽい。弦のズンズンというリズム主題が素早く盛り上がり、豪快な主題を導く。タンバリンも鳴るよ!
そのままビバーチェでくるくる盛り上がると古典的だが、なぜか途中で低音金管がブーブー云い出して進行を中断するのが、またなんとも。
最後はテーマが戻ってドカーン!です。
25分前後と短いし、作品集としていいCDもありますので、ぜひ試してみてください。
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