プーランク(1899−1963)


 いわゆる「フランス6人組」の1人、プーランク。ドビュッシーやラヴェルのイメージか、フランスでは交響曲はあまり無いという印象も受けるが、そんなことはなく、ベルリオーズフランク伝統の硬派な曲が多い。その中で、ビゼー伝統とも言える軽妙ないかにもフランス風エスプリ路線としての、軽交響曲の流れもある。プーランクの小交響曲は、その最たるものといえる。


シンフォニエッタ(1947)

 室内楽、管絃楽、協奏曲、交響曲にオペラ、カンタータと一通りの作品を作ったプーランクは、敬虔で気高いものから俗っぽい調子のもの、現代風のモダンなものまで作風も幅広い。共通するのはその独特の新古典的な形式とふわりとした音色だろうか。

 シンフォニエッタ(イタリア語)は、日本語にすると小交響曲というほどの意味だが、ヤナーチェクの同曲と同じように、カタカナで「シンフォニエッタ」とされる場合が多いように感じる。どうしてかはわからないが、見た目もそのほうがおしゃれでかっこよくみえるからだろうか。また、ドイツ語やフランス語での表記との差で、カタカナのまま、という解説もある。

 小交響曲というわりには、4楽章制で演奏時間は約30分なので、ふつうに交響曲である。ブラームスの3番などにも匹敵する。じっさい、プーランク自身も交響曲というタイトルで作曲していたが、その軽妙洒脱な内容から出版社がシンフォニエッタとして出版したい旨を申し出たっぽい。内容からみると、確かに交響曲というより、シンフォニエッタとしたほうが正解だろう。

 もともとは絃楽四重奏として作曲されていたが、楽想が膨らみそれを破棄。交響曲として作曲し直された。

 1楽章、アレグロ・コンフォーコで、8分ほどもある立派な楽章。叩きつけるリズムが特徴の第1主題。一瞬、ヴェルディのレクィエムかという重厚さだが、一瞬で終わる(笑) 第2主題は木管主体で流麗なもの。ソナタ形式のようだが、自由形式らしい。両主題を何度か繰り返して、中間部では第2主題を規模を膨らませて大きく展開。その後、短い再現部を経てコーダへ。ここも、サッと終わるお洒落さ。

 2楽章は実に軽妙なモルト・ヴィバーチェとなっている。スケルツォ形式で、スケルツォ部は舞曲だが、南仏のような明るさ。トリオに相当する中間部は逆にじっくりとメロディック。それが細かくロンドのように繰り返される構造となっている。

 3楽章はアンダンテ・カンタービレの緩徐楽章だが、アンダンテというだけあってここもゆったり日傘をさしてお散歩気分。木管の序奏より、クラリネットの愛らしい美旋律。その旋律が絃楽を初めとして、オーケストラ全体にしっとりと馴染んで行く。大変に情緒豊かな、しかし、純粋な音楽としての音楽を愛でる楽章。

 4楽章フィナーレで、フランス語で指示があるが、意味がわからないw 楽器達が、実に小気味よく明快に鳴り渡る。絃楽器によるうきうきした主題がまず提示され、ホルンが伸びやかな主題が続く。これもロンドのようにその2種類の主題をオーケストラ全体をあちこち使って変奏(展開)しながら進行。ときにメランコリックに、ときに深刻になる。コーダで花火めいてパッと盛り上がり、祝祭は終わる。






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